愛着のある「大型家具」を手放した理由3つ。婚礼タンス、ダイニングセットから仏壇まで
長年置いてある思い出深い家具は、捨てたくても捨てられないことが多々あります。それでも、覚悟して手放してみると、すっきり暮らしへと好転するかもしれません。奥田明子さん、小林ユリさん、原田さよさんの3人が、「大きな家具を捨てた」体験談とその結果を教えてくれました。
「いつか捨てる」を先延ばしにしない
「引っ越すときにもってきた婚礼タンスをどうするべきか」。ESSEフレンズエディターで、整理収納コンサルタントの奥田明子さん(50代)は、ここ数年悩み続けていたそう。
今回は、婚礼タンスを思いきって手放した際の体験談や感想をお聞きしました。
普段は仕事部屋に置いており、別に邪魔でもないし、実際に収納にも使っている。でも、どこか感じる圧迫感…。さらに、婚礼タンスは買い取りをしておらず、引き取りにお金がかかるというのも手放す際のネックになっていました。
家具のリメイクも検討しましたが、私自身50歳になり、結婚20年を迎えることを考えて、「今がちょうどいい機会かもしれない」と、ようやく手放す決意に至りました。
手放す際の2ステップとかかった費用
手放すと決めてからまず行ったのは、中身の整理です。
収納していた洋服やバッグは、この機会に整理してクローゼットに移動。もともとたくさんのものを入れていたわけではないので、新しい収納ケースを購入することなく、既存の収納スペースに移し替えるだけですみました。
次に、2階にあった婚礼タンスを1階に下ろしてもらえるサービスを探しました。
お願いしたところは約2万円で、当日3人ほどのスタッフさんが来てくれるもの。てきぱきとタンスをバラして、パパっと1階まで下ろしてくれました。
バラしたタンスは、粗大ゴミとして処分。タンス2棹で2000円ほどでした(自治体によって処分方法や金額が異なりますので、各自ご確認ください)。
思いきって捨ててみたら、気持ちがすっきり
タンスがなくなった空間を見たときは、少し寂しさを感じました。ですが、長年悩んでいたことをやっと決断できたこと、そしてすっきりした空間ができたうれしさもありました。
人からもらった婚礼タンスを手放すことに、抵抗がある方もいらっしゃるかと思います。もちろん、絶対に婚礼タンスを捨てなければいけない、というわけではありません。
ただ、ずっと家にあるものでも、場所をとっていたり、ライフスタイルに合わなくなってきたものは、思いきって手放してみてはいかがでしょうか。やってみると意外と手間がかからなかったり、家だけでなく気持ちまですっきりするかもしれません。
ダイニングセットを処分したら、暮らしが快適になった
ソファ、ダイニングセット、カウンター、デスク、本棚など、生活において必要な家具はたくさんあります。ただ、「一般的に家の中にあるとされているもの」でも、それが自分のライフスタイルに合うかどうかというのは別。
二世帯住宅で暮らすライターの小林ユリさんは、ダイニングテーブルとダイニングチェアを処分したことで、過ごしやすさを肌で感じたそう。快適になったお部屋を紹介してもらいました。
家のテーブルを一体化してみた
わが家はもともとダイニングエリアとリビングスペースを区ぎって部屋を使用していましたが、ネックになっていたのは部屋の狭さ。部屋の中に余分な空間がないのが気になっていました。
思いきってダイニングセットを処分してみると、狭いリビングではこちらの方が使い勝手がいいと感じることが多かったのです。
ダイニングセットを処分したことのメリット
大きな家具であるダイニングセットを処分して気づいたことを紹介します。
(1) テーブルの片づけがラクになった
今まではソファテーブルとダイニングテーブルのふたつを掃除する必要がありました。掃除嫌いの筆者にとって、ふたつのテーブルをこまめに掃除しなければならないのは地味に大変な作業でしたが、テーブルの数がひとつに絞られたことで、掃除の時間が短縮されました。
(2) 部屋を広く使えるようになった
リビングスペースとダイニングスペースを別々で設けるよりも、ひとつにまとめてしまうほうがスペースを広く使うことができます。
以前よりも床が見える範囲が増え、スッキリした印象に。部屋のゆとりが増えました。
(3) 友人を招きやすくなった
最近ではコロナも落ち着き、筆者のまわりではだれかの家に集まる機会が増えました。
ただわが家に招く場合、1人か2人くらいなら問題ないのですが、それ以上になるとスペース的にリビングとダイニングに分かれて座ってもらわなければならず、なんとも会話がしにくい状況に。さらに、飲み物やお菓子など、おもてなしのものをひとまとめに置くことができないのもストレスでした。
ソファテーブルをみんなで囲めるようになってからは、そのような不都合が改善され、友人たちを招待しやすくなりました。
(4) 食後、そのままくつろげる
食事が終わったらソファへ移動してくつろぐのも、メリハリとしてはいいのかもしれませんが、筆者は食後そのまますぐにくつろげる方がラクだと感じています。
(5) ルンバが一気に使いやすくなった
ダイニングテーブルと2脚の椅子を処分したことで、以前よりもルンバがかけやすくなりました。そのため自分の手で掃除機をかけなければならない場所が少なくなり、床掃除の手間がだいぶ少なくなりました。
処分に悩むときには“おためし期間”を設けるとよい
なにかを捨てるとなると、「本当に大丈夫かな?」と心配になることもあると思います。かくいう筆者も、果たしてリビングにダイニングテーブルがなくなっても大丈夫なのかわからなかったので、処分する前にダイニングセットを物置きに運び出して様子を見ることに。もし不便を感じたらその段階で元の状態に戻せばいいだけなのでリスクはありません。
数週間のおためし期間を設けてみて、わが家の場合ダイニングテーブルはなくても不便ではないことに気がつきました。困らないどころか、むしろメリットだらけ! 家づくりや模様替えをする際、固定概念に囚われる必要はまったくないのですね。
大きな家具を処分する、増やすなどの決断をする際には、自分のライフスタイルに必要なものかどうかを見極める猶予期間を設定するのがよさそうです。
義理の実家の仏壇を処分…準備の手順とは
大きな家具などを処分するのはとても労力がいるものです。今回は、50代60代の暮らしについて発信する整理収納アドバイザーの原田さよさんに、義理のご実家にある「大きな仏壇を処分」した体験談を聞きました。
わが家で同居を始めた義母は、それまで田舎の広い家でひとり暮らしをしていました。同居は納得していたものの、心配だったのはあき家になってしまった家と、そこに置かれたままの古い大きな仏壇のことでした。菩提寺(先祖の位牌を納めてあるお寺のこと)と夫の実家とは昔から濃いおつき合いがあり、なおさら気がかりだったのです。
その義理の実家が売れることが決まったので、いよいよ仏壇を処分するべく、魂抜き(宗旨・宗派によっては「閉眼供養」「性根抜き」ということもあります)をすることになりました。5年前のことですが、仏壇の魂抜きの段取りは今もさほど変わらないと思うので、当日の流れやかかった費用のことなどをまとめてみます。
仏壇の魂抜きをする日程や服装について
魂抜きとは、仏壇を処分したり動かしたりする前に行う法要のことです。日程や当日に必要なもの、お仏壇の飾り方や服装などについては、菩提寺と相談しながら進めました。
わが家は菩提寺とのおつき合いが続いていたのであまり迷いませんでしたが、不慣れだとか不安だとかいう場合は、まず親戚や友達に聞いてみるのもいいと思います。ちなみにうちの場合、親戚を含め全員が喪服かそれに準ずる服装でした。
仏壇の魂抜きにかかった費用
夫の実家にあった仏壇の魂抜きにかかった費用は、合わせて約12万円ほどでした。仏壇そのものの解体費用がないのは、あき家になった義実家を売却するときに、いっしょに処分してもらうことにしたからです。
・お布施…50000円
・お車代…0円(近所だったため)
・お膳料…5000円
・仏壇へお供えするもの…5000円
・仏花代…3000円(お仏壇とお墓、両方で)
・茶菓子や飲料代…3000円
・お昼会食代…37000円(部屋代含む)
・お返し代…15000円
お供えしたものは親戚で分け合って、それぞれ持ち帰ってもらいました。
お布施・お車代・お膳料の決め方について
仏壇の魂抜きをしてもらう際は、菩提寺へお布施とお車代を渡すのが一般的で、お膳料(食事の代わりに準備するもの)を添えるのは珍しいかもしれません。お膳料をお渡ししたのは、魂抜きのあと親戚と一緒に食事をした席に、住職が来られなかったからです。法要の後で親戚と一緒に食事をしたのは、家や土地も処分するため、区切りのご挨拶をするためでした。
お布施の金額については、身近な人や、利用したことのある葬儀社に聞いて決めるのがおすすめです。また、仏壇を購入したお店で教えてくれる場合もあるそうです。
仏壇の処分の仕方について
魂抜きを行った後のお仏壇は、自治体のクリーンセンターへ持って行ったり、燃えるゴミとして処分したりしても問題ありません。また、お寺や仏壇店、葬儀社のなかにも、仏壇や位牌の処分を請け負ってくれるところがあるので、問い合わせてみてもいいでしょう。
処分したあとの罪悪感との向き合い方
あき家になった義実家は、何百年も長男が継いできた家でした。もし私が夫の実家で同居していれば、あのお仏壇は処分せずにすんだかもしれません。魂抜きのときに見た過去帳には、元和や寛永の文字があり、なんとも言えない申し訳ないような気持ちになりました。
でも、お仏壇の魂抜きを終えてからは、これでよかったのだと思えるようになりました。狭いわが家ですが、家にある小さい仏壇とともに、義母と夫と私とで平和に穏やかに暮らしていこうと。
もし、年末年始に帰省されることがあったら、実家や義実家にある仏壇の今後について話をしてみるのもいいのではないでしょうか。ちなみに私のほうの実家の仏壇は、タンスに乗せられるサイズなので、母がいる有料老人ホームの居室に置くことができました。
ぜひ、私の体験談が少しでも参考になることを願っています。