ラーメン業界“閉店ラッシュ”の中で店舗を増やし続ける「丸源ラーメン」。圧倒的な成長を可能にした強みとは
![丸源ラーメンの「熟成醤油ラーメン 肉そば」](https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/e/9/e9524_963_f5dde6a0_e29fd017-m.jpg)
ラーメン市場(2023年)は6000億円市場と推計され、回転寿司市場(7350億円)を下回るが、多くの人に好まれる国民食であり、今後も増加傾向が続くと推計される。だが、一方で、需要の割に競合店が多く、競争が激しくなっている。資本力があり、合理的な仕組みを確立して「ラーメンの壁1000円」を払拭するラーメンチェーンに、資本力が脆弱な小規模個人店が立ち向かうのは、難しいのが実情だ。
◆丸源ラーメンの勢いが止まらない
たまに、出店数の急速な増加は、資金繰りに苦しむ企業が、最後の手段で講じるオープン景気の現金回収を目的にするケースもあるが、自己資本比率がほぼ50%と、財務基盤が盤石な物語コーポレーションの傘下だから問題はなく、中長期視野に基づく成長戦略の一環で攻めの出店である。
丸源ラーメンは、物語コーポレーションのコア事業である焼肉きんぐに次ぐ成長分野のラーメン部門で、焼肉きんぐに次ぐ店舗数を誇っている。この店のラーメンは標準化が普通のチェーン店でありながら、筆者の周囲でも「無難な味とは一線を画したラーメン」だと美味しさを評価されている。
◆丸源ラーメンの売上は前年比2桁成長
ラーメン部門の店舗数は211店舗あり、そのうちフランチャイズは100店舗以上ある。コア事業であり焼肉業界No.1の称号を持つ「焼肉きんぐ」のブランドを、最大限に活用しながら、丸源ラーメンの認知度を高めている。
業績を見てみよう。物語コーポレーションは部門別の売上を公表していないため、前年比で丸源ラーメンの成長率を記載すると、売上は好調を維持しており、前年比2桁成長である。
2023年6月期決算:売上123.7%、客数118.6%、客単価104.3%
2023年7月〜2024年3月決算:売上112.6%、客数107.8%、客単価104.5%
◆ロードサイドを中心としながら駅前にも出店
丸源ラーメンの認知度を高め、物語コーポレーションはブランド力をさらに強化するために、新たなチャレンジとして、出店戦略を見直すようだ。従来の郊外ロードサイドを中心としながらも、駅前立地に積極的に出店する体制を構築する。
新規顧客開拓に力を入れると共に、人通りの多い場所に出店することで、ブランドの認知度を高め、ブランド全体への波及効果を期待する。これは将来的に立地の偏在性を解消し、立地で生じるリスクを分散させる狙いもありそうだ。2024年度株主総会で使用された決算資料によると、同社ではモデル店舗として、
店舗面積:約45坪
卓数:15卓58席
想定客単価:1000円
を掲げている。他店と比べるのは難しいが、一般的に賃料の高い駅前立地で、最適な採算性を考慮した規模だと思う。コンビニの1.5倍の大きさは、ラーメン客だけでなく、家族客や飲み客も誘致できるほど、カウンター席とテーブル席の適切なバランスを維持できる。固定費(家賃など)と変動費(効率的なオペレーション、利益最大化のメニュー構成から売上の増減で発生する費用)の適正化から、モデル店舗として設定したのだろう。
◆アプリのダウンロード数250万DLを突破
今後の労働力の減少も想定してDXを推進。注文はタッチパネルで、会計はセルフレジにする。あとは段階的に効率化に向けて、デジタル機器を活用しながらオペレーションの省力化・自動化を進めていくようだ。