MicrosoftはWindows搭載の次世代AI PCとして「Copilot+ PC」を発表しており、Acer・ASUS・Dell・HP・Lenovo・Samsungといったパートナー企業からCopilot+ PC対応モデルがリリースされる予定です。そんなCopilot+ PC対応モデルのひとつとして、Samsungから「Galaxy Book4 Edge」が発表されているのですが、Samsungがフォートナイトなどの一部のソフトウェアとの互換性がないことを明かしました。

Samsung’s New AI Laptop Struggles to Run Software Including ‘Fortnite’ - WSJ

https://www.wsj.com/tech/new-samsung-laptop-with-ai-functions-has-trouble-running-software-including-fortnite-2f7f011a



Copilot+ PCs are not usable in one key area, reviews say | Digital Trends

https://www.digitaltrends.com/computing/snapdragon-x-elite-copilot-review-roundup/

Microsoftが2024年5月に発表した「Copilot+ PC」に対応した最初のPCモデルとして、Acer・ASUS・Dell・HP・Lenovo・Samsungといった大手PCメーカーが複数のCopilot+ PC対応モデルを発表しました。これらの初期のCopilot+ PC対応モデルは、QualcommのArmアーキテクチャを採用したチップであるSnapdragon X EliteあるいはSnapdragon X Plusを搭載しています。

SamsungのCopilot+ PC対応モデルであるGalaxy Book4 Edgeはこんな感じの見た目です。



Galaxy Book4 Edgeはアメリカや韓国をはじめとする市場で、2024年6月18日(火)に発売されました。発売日の翌日となる6月19日に、Samsungは韓国語版の製品ページに「記事作成時点では互換性がない、またはインストールできないと判断されたアプリケーションのリスト」を掲載しました。このリストには一部のAdobe製ソフトウェアや、リーグ・オブ・レジェンドやフォートナイトといった人気ゲームが含まれていたそうです。

Samsungはこれらのソフトウェアを利用できない詳細を明らかにしていませんが、Galaxy Book4 Edgeに搭載されているQualcommのSnapdragon X Eliteが原因であるとしており、「アプリ開発者に改善を要請しており、アプリの改善スケジュールをチェックして、継続的にアップデートを提供していく予定です」と説明しています。

なお、ウォール・ストリート・ジャーナルはMicrosoftおよびQualcommに今回の問題について問い合わせを行っていますが、記事作成時点で返答は得られていません。



MicrosoftのWindowsを搭載するPCは、数十年にわたってIntelのプロセッサを採用してきました。しかし、Copilot+ PC対応モデルはインターネット接続なしで画像生成やテキスト要約といったAI機能を利用できるようにするべく、Qualcomm製のArmアーキテクチャを採用したチップを搭載しています。しかし、これまでとは異なるCPUアーキテクチャを採用しているため、Intel製チップに最適化されていたソフトウェアで互換性の問題が発生し、利用できなくなっている可能性があるとウォール・ストリート・ジャーナルは指摘。

初期のCopilot+ PC対応モデルはすべてQualcommのSnapdragon X EliteあるいはSnapdragon X Plusを搭載しているため、チップが原因でAdobeやフォートナイトといったソフトウェアが利用できなくなっている場合、初期のCopilot+ PC対応モデルはすべてこれらのソフトウェアに対応していない可能性があります。なお、ウォール・ストリート・ジャーナルは「他メーカーのCopilot+ PC対応モデルでも同様の問題が発生しているのかはすぐにはわからなかった」と報じました。

同じCopilot+ PC対応モデルであるAsus Vivobook S 15をレビューしたYouTubeチャンネルのDave2Dは、「Arm用にコンパイルされていればエクスペリエンスは素晴らしいです」「しかし、x86アプリに移行した瞬間、その要求の厳しさにもよりますが、状況は一変します」と言及。Armアーキテクチャに対応したソフトウェアのパフォーマンスは素晴らしいと前置きしながら、Windowsアプリの大部分が対応しているx86をPrismでエミュレーションする場合は「システム要求の高いソフトウェアの動作は厳しいものになる」と指摘しています。なお、MicrosoftはPrismでのエミュレーションについて、「パフォーマンスに大きな影響はない」と言及していました。

The Moment We've Been Waiting For - YouTube

Dave2Dによると、PrismでのエミュレーションでもPremiere Proなどの一部のソフトウェアは正常に動作するそうですが、同じくネイティブでのArmアーキテクチャのサポートがまだであるAdobe Premiere Proは一部の編集はできるもののエクスペリエンスは超高速というにはほど遠く、「GPUベースのエフェクトになると本当に動作が遅くなる」そうです。なお、ネイティブでArmアーキテクチャをサポートしている動画編集ソフトウェアのDaVinci Resolveでも、GPUベースのエフェクト処理では動作が遅くなる問題が発生したとYouTuberのMatthew Moniz氏は指摘しています。

さらに、Moniz氏によるとAsus Vivobook S 15ではディアブロIVでPrismのエラーが発生してクラッシュし、フォートナイトはそもそも全く読み込みができず、オーバーウォッチ2はウィンドウモードで実行することを余儀なくされ、解像度は1200×800ピクセルに制限されたそうです。さらに、ArmアーキテクチャをサポートしているはずのDIRT 5でも、フレームレートが19fpsまで落ちており、まともなプレイはできなかったそうです。

なお、MicrosoftはCopilot+ PCでのゲームプレイを大々的に宣伝しており、オーバーウォッチ2のパフォーマンスを「完璧」と評しています。