一枚の写真が、トラブルの原因になってしまうことも(naomac / PIXTA)

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神奈川県横浜市にある、首都高速大黒PA。車好きの聖地とも知られており、テレビやSNSなどで、旧車やスポーツカーが集まる様子を目にしたことのある人も多いのではないだろうか。

近年、北米市場車など現地仕様の日本車を、日本仕様風にカスタムした「JDM」と呼ばれるジャンルの車や、『ワイルドスピード』『頭文字D』といった作品の人気もあり、大黒PAを訪れる外国人観光客も急増している。しかしその裏で、トラブルも少なからず報告されている。

柵をよじ登って侵入する外国人観光客

大黒PAに近い、ベリーベスト法律事務所 横浜オフィスの本庄卓磨弁護士も「私は車を運転しないため、大黒PAを利用したことはないのですが、横浜駅周辺やみなとみらいなど、オフィスの近くで外国人を見かける機会が多くなったと感じます」と話す。

しかし、外国人観光客の増加により、トラブルも発生している。報道によると、大黒PAを訪問するために、PAの外壁にある柵をよじ登って侵入するケースや、いわゆる“白タク”で大黒PAに乗り付けるといった行為がこれまでに確認されているという。

「高速道路等への立ち入りは道路法48条の11第1項や、高速自動車国道法17条1項に違反する可能性があります。

また、道路運送法では、タクシー事業を行うためには国土交通大臣の許可を受けなければならないと定められており(同法4条1項)、白タクはこの法律に違反しています」(本庄弁護士

大黒PA内でもトラブルが

大黒PAへの「入り方」のみならず、大黒PA内でもトラブルがあるようだ。

SNS上では「勝手に車に寄りかかったり触ったり…最悪だ」「勝手にボディやら窓に手を着いて写真撮ったり中覗き込んだりするのだけはイラッときた」といった投稿がみられた。

これらの行動に法的問題はないのだろうか。本庄弁護士は、以下のように説明する。

「撮影された写真に車しか映っていないのであれば、犯罪行為には該当しません。ただし、他人が写っているにもかかわらず無断で写真を公開した場合は、肖像権やプライバシー権の侵害に当たる可能性があります。

また、他人の車を傷つけた場合には器物損壊罪(刑法261条)に当たる可能性があります。撮影自体が法的には問題ない行為であったとしても、他人の車を勝手に触ったり、よりかかったりするのは迷惑行為であり、トラブルの原因にもなるため、やめるべきです」

場合によっては「通報するべき」車を守るために出来ることとは?

大黒PAに限らず、公共の場所で車のオーナーが他人に勝手に愛車を触られるのを防ぐためにはどのようにすれば良いのだろうか。

ドライブレコーダーやボディカバーを使用したり、防犯カメラが設置されていることの多い屋内駐車場を利用したりすることが有効です。

人目に付く場所への駐車も、不特定多数の目に付くことから一長一短ではありますが、対策のひとつとして考えられます」(本庄弁護士

なお、他人が愛車を勝手に触っている場面に遭遇したときには、注意が必要とのことだ。

「そのような現場に遭遇した場合は、警察に通報するべきです。自分自身で対応しようとすると、トラブルに発展する可能性があるので、おすすめできません」(同前)

トラブルを避けるためには極力控えるべきかもしれないが、車好きの人であれば、街中で珍しい車を見かけた場合、思わず撮影したくなってしまうかもしれない。そういった際に気を付けるべきことについて、本庄弁護士は以下のようにアドバイスする。

「所有者や運転者の許可を得たうえで撮影し、人が写りこまないように注意しましょう。また、写真を無断で公開することや、他人に渡すことは控え、自分だけで楽しむことも、トラブル防止になります」