とちぎテレビ

桜の木の中を食い荒らし、枯らしてしまう特定外来生物の「クビアカツヤカミキリ」の被害の範囲が栃木県内で年々広がっています。ちょうど今、繁殖期を迎えていて市民の手を借りて被害防止に取り組む自治体も出てきました。

クビアカツヤカミキリは、元々は日本にいない中国や朝鮮半島などに分布する昆虫です。幼虫が桜や桃の木の中を食い荒らし枯らしてしまうことから環境省は2018年に生態系や農林水産業に被害をおよぼす「特定外来生物」に指定しました。栃木県内では、2016年7月に足利市で初めて成虫が見つかり、県の調べで昨年度は12の市と町で新たに3200本余りの被害が確認されました。

このうちの3分の1を占め最も被害が深刻な足利市です。この場所は、毎年春には、およそ150本もの桜並木があたりをピンク色に染める名所でしたが今は半分ほどの本数に減ってしまいました。幹を見てみると、至る所に穴や、それをふさいだ痕跡があり、「クビアカツヤカミキリ」対策の注意書き。根元には寄生した幼虫が出す「フラス」と呼ばれる木くずと糞が混じった粉状のものが大量にあり、中には、すでに枯れてしまっている木もありました。

クビアカツヤカミキリは、6月から8月に成虫になり、在来のカミキリの3倍ほどになる最大1000個の卵を産むといいます。足利市内にある桜を回ってみると寄生していた木の中で羽化し、外に出ようとする瞬間を撮影することができました。

足利市は被害の拡大を防ごうとこの時期に合わせて市役所1階のロビーで注意と駆除を呼びかける展示を行っています。巨大なオブジェの展示のほか、継続して、駆除に協力する市民ボランティアを募集しています。ボランティアは400人を超え被害の増加スピードは緩やかになってきましたがかつて憩いの場所だった美しい景色はもうなく、市民は、対策の難しさを感じています。

こうした中、足利市は6月15日に市の総合運動場で県内で初となる競技形式の駆除イベントを開きます。市民参加による一網打尽作戦で捕まえた数を競い、取り組みをさらに加速させたい考えです。