NHKネット必須業務は′25年度後半。ネット受信料は月1100円程度に
日本放送協会(NHK)の稲葉延雄会長は、インターネットでの番組提供等を必須業務とする時期を「2025年度後半」、またネット受信料額は「地上契約(月額1,100円)と同じ水準」とする方向で検討している事を明らかにした。具体的なサービスの内容や受信契約、配信方法などは検討中で、「来年度の予算・事業計画の中で示したい」という。
これまでNHKがインターネットで提供してきたニュース情報(NHK NEWS WEB)や同時・見逃し配信(NHKプラス)などのサービスは、放送法で定められた“任意業務”の中で実施してきた。これが今月17日に国会で成立した放送法の改正により、放送と同じ“必須業務”へと格上げ。テレビなどの受信設備を持たない人に向けても、インターネットを通じて、NHKの放送番組やニュース記事等を届ける業務が必須となった(NHKオンデマンドは任意業務まま)。
稲葉会長は、改正放送法の可決・成立を受け、「これまで任意業務だったNHKのインターネットサービスが放送と全く同じ扱いとなり、放送と同じ情報内容や同じ価値を提供しなけれならないことだと理解しています。ネットサービスがこれまでよりも高い位置づけとなり、放送を主な業務としてきたNHKにとっては、まさに歴史的な転換点を迎えるということになると重く受け止めています」とコメントした。
必須業務のスタートについては、予算・事業計画の策定や受信規約の改定、システムの改修、インターネット配信基盤の整備などを行ないつつ、2025年度後半を想定。
権利処理等の関係で衛星放送の配信は行なわず、総合・Eテレの地上番組のみの配信となるため、ネット受信料は「基本的には地上契約と同じ水準」とする方向。同時・見逃し配信は、現在のNHKプラスのような形で提供する見込み。
高校野球の試合など、現在は一部コンテンツが同時・見逃し配信できていないが、「スタートまでにできるだけ解決」し、地上波番組をすべて配信する方向で調整中とのこと。ネットオリジナルの番組はないという。
なお、ネット受信料の対象は、テレビを持っておらず、かつスマートフォンやパソコン、チューナーレステレビなどからNHKのアプリのダウンロードやID取得などの一定の操作を行ない、配信を受け始めた人に限られる。スマートフォンやパソコンなどを持っているだけでは、受信料の対象とはしない。
また、テレビを設置するなどして、すでに受信料を支払っている人は、追加の負担をすることなく、必須業務後のインターネットサービスを利用することができる。