NHK技研、液体金属を使った伸縮フルカラーディスプレイ開発。技研公開で展示
NHK放送技術研究所(技研)は、柔軟なゴム基板上に液体金属を使った伸縮配線とマイクロLEDを形成したフルカラー伸縮ディスプレイを開発した。実用化されれば、将来、例えば映像に包み込まれるようなドーム型のディスプレイを作ることができ、没入感や臨場感ある映像体験を楽しめるとしている。
従来の金属配線は、基板が変形すると電気抵抗の上昇や断線が発生するため、伸縮ディスプレイに適用できなかった。今回、金属配線の材料に液体金属を用いたことで、伸縮させても断線することなく、低い電気抵抗を維持できる伸縮配線を開発。また、液体金属の粘度を調整することで、印刷技術による細い配線パターンの形成に成功した。
ゴム基板状に赤、緑、青色に発光する微細なマイクロLEDを格子状に形成し、これら画素間を液体金属による伸縮配線で接続することで、32×32ドットのパッシブ駆動のフルカラーディスプレイを開発。開発されたディスプレイは自由に変形でき、1.5倍に伸張させても安定して表示できる。
この技術は5月30日から6月2日の期間で開催される「技研公開2024」で展示。今後はディスプレイの高精細化、高画質化を進めたプロトタイプを試作し、2030年までの実用化を目指す。