怪異と乙女と神隠し 1巻
(C)ぬじま/小学館

現在放送中の4月期アニメから、おすすめの原作マンガを紹介。人気シリーズ作品から今期初めてアニメ化した作品まで、独断と偏見でピックアップした。原作マンガも楽しむことで、アニメならでは、マンガならではの演出の違いなど、お気に入りの作品の新たな魅力を発見するかもしれない。

「鬼滅の刃」柱稽古編

「鬼滅の刃」といえば、疾走感のあるストーリーの展開で原作も人気を博したわけだが、最早全力疾走を超えて新幹線級の展開の早さを見せたのがこの柱稽古編。原作では15巻の半ばから16巻の1/4くらいと、おそらく単行本1冊分あるかないか。週刊の少年誌がアニメ化するとだいたい原作3話分がアニメ1話になることが多いが、そのまま描かれるとわずか3話で終わってしまう。

そんな早すぎて読者が若干置いてけぼりになるくらいの原作の内容を、わかりやすい補足とともに見応えたっぷりのアニメとで魅せてくれるのがufotable。是非原作の内容とアニメの内容を見比べてみてほしい。なお、16巻はもう次の展開になってしまうため、読むのであれば予習がてら、最後まで購入してしまうのがオススメだ。

ゆるキャン△

ゆるキャン△ SEASON3のエピソードは原作10巻、11巻の大井川のエピソードがメインで展開。吊り橋巡りのほか、作中では「デスロード」と呼ばれる所謂“酷道”をリンとなでしこの幼なじみ 綾乃の2人が原付で走る、原作でも人気なエピソードだ。

制作会社が変更となり、絵柄も変わったが、今回担当しているエイトビットのキャラクターデザインは原作に寄せている印象があり、原作ファンとしてはあまり違和感なく楽しめている。

また原作者あfろが同時連載している「mono」もアニメ化が決定。ゆるキャン△ 原作でも魚眼レンズによる撮影のような演出がよくあるが、monoでは主人公が360度カメラを使用するほか、撮影も主軸に展開されるため、ゆるキャン△とはまた少し異なる雰囲気で楽しめる。もちろん絶景スポットやグルメ情報はゆるキャン△同等の量だ。

怪異と乙女と神隠し

やわらかスピリッツにて連載中のぬじまによる作品。現在7巻まで発売中。一般的な都市伝説や、「きさらぎ駅」などの旧2ch発の怪談が登場し、あ~そういう感じねぇと思わせたところで、「変若水(をちみず)」や「真怪」「偽怪」といった、ググっただけでは詳細が出てこないニッチなワードも飛び出してくるオカルト好きにはたまらない作品。

登場人物たちのバックボーンが丁寧に描かれており、人も怪異も垣根なく愛着が沸いてくるのも魅力だ。とくに主人公 菫子の過去が語られる書籍姫のエピソードが筆者のお気に入り。作者の愛を感じる魅力の詰まったキャラクターデザインも注目ポイントだ。

戦隊大失格

週刊少年マガジンで連載中の同作。作者は「五等分の花嫁」の春場ねぎ。ラブコメだった前作から大きく方向転換し、戦隊をテーマにしたダークな作品だが、持ち前の画力で迫力のある戦闘シーンを見せてくる。

ちらほらと布石があるように感じながらも先の読めない展開は前作「五等分の花嫁」から変わっていない。毎話ページをめくるのが楽しい作品だ。現在14巻まで発売している。

怪獣8号

少年ジャンプ+で連載中の松本直也による作品。現在12巻まで発売しているほか、スピンオフ作品「怪獣8号 sideB」も連載開始している。

怪獣が発生する日本を舞台に、かつて防衛隊員を目指し、現在怪獣専門清掃業で働く日比野カフカが、ある日謎の生物によって怪獣化。作中でナンバリングを振られる怪獣は一部の危険な存在なのだが、主人公がそんな人類の脅威とみられる存在になってしまう。その事実を隠しながら防衛隊員となり、怪獣から国民を守るために奔走していく。

sideBは、本編では語られていない防衛隊員達のエピソードが描かれた小説版「怪獣8号 密着! 第3舞台」をさらにコミカライズしたものとなっている。

ささやくように恋を唄う

月刊百合姫で連載中の竹嶋えくによる作品。超素直な所謂“ワンコ系”な主人公ひまりと、軽音部の助っ人ボーカルとして新入生歓迎会で歌声を披露した依の、憧れと恋心、その少しすれ違った「ひとめぼれ」から始まる百合作品。現在9巻まで発売している。

クールな佇まいながら奥手で空回りしている依と、持ち前の素直さでぐいぐい行くひまりを中心に展開されるが、軽音部と依との関係や、少し複雑な人間関係とそれぞれの想いなど、青春の酸い甘いを存分の楽しめる作品だ。