4団体統一王者・井上尚弥と“悪童”の異名をもつルイス・ネリの一戦での“映り込み”が話題となっている、お笑いトリオ・ロバート山本博。一体会場で何をしていたのか。本人を直撃した。

【映像】井上尚弥戦で職務を全うする山本博の様子

 34年ぶりに行われた東京ドーム興行で、井上選手がネリ選手の挑戦を受け、自身初のダウンを喫するも6回TKO勝ちで防衛を果たした。そんな中、ネットで話題となったのがロバートの山本だ。前日の計量会場や井上選手の入場時、試合中もリングサイドで真剣すぎる表情を浮かべ井上選手を覗き込む様子が何度も中継に映り込んだ。ネット上では「なんでいるの?」「芸人オーラがゼロすぎて怖い」「なぜ真顔でいるのか気になって試合に集中できなかった!」との声が相次いだ。

 山本は世紀の一戦で何をしていたのか。本人を直撃すると「インスペクター」を務めていたことを説明し、「本当にお騒がせして申し訳ございませんという感じ(笑)あの試合だけ見られた方は、『尚弥君と仲良くて良かったですね』『尚弥君があそこに来いと言ったの?』と勘違いしている人がいるが、つこうと思ってつけませんし。笑わしてもらったよみたいな感じ。そんなつもりでやってないんですよ。もう秋山とか『これどこのスタジオのコント?』みたいな」と、周囲からの反響を明かした。

 インスペクターとは、選手の安全や公平な試合を行うために重要な、いわば裏のレフェリーだ。その職務内容について山本は「“張り付き”という仕事で、要はドーピングチェックが終わって、試合までずっとその選手を一人にさせちゃいけない。何を飲むか分からない。何を摂取するか分からない。とにかくフェアにする、クリーンにするために一人ついてなきゃいけない。トイレに行くのにもついていく、本当に簡単に言うなら裏の審判」と明かした。

 「テーピングが剥がれてきたり、ファウルカップの紐が出ていたり、ワセリンが塗りすぎとか。毎ラウンド、靴の紐が取れていないか、ボトルが(リングに)上がっていたりしないか、水がこぼれてないか、それを全部、リングチェックも同時にやっている」(山本博

 山本は2月にインスペクターのライセンスを取得し、芸人の仕事と兼業で、月に10日ほど、後楽園ホールを中心に立ち続けているという。試合が始まると、インターバルの時にリングに上がり、ダメージチェックをするのもインスペクターの重要な仕事だ。

 では、井上選手がプロ初のダウンを喫した“あの瞬間”はどうしていたのか。「『倒された!』と思ったが、ダメージ見なきゃとか、傷見なきゃとか。興奮して仕事を忘れるわけにいかない。めちゃくちゃロボットのように動いた。マシンでしたから、マシン」と笑顔で振り返った。

 山本がインスペクターの道を歩み始めたのは、今年2月に日本バンタム級タイトルマッチで、穴口一輝選手が壮絶な試合の果てに亡くなったことがきっかけだった。

「勝つか勝たないかよりも、尚弥選手のダメージを見る担当なので。無事に家族のもとに帰るための仕事をしなきゃいけない。ネリ選手に関しても結構ダメージあったので、大事を取って救急車で病院へ向かってもらったんですけど、その次の日、家族でディズニーランドに行っていたという報道を聞いて、僕たちの仕事は正しかったんだと。まず、事故・アクシデントが起きないようにというのが僕たちの最大の仕事」

 非常に重要な職務である一方、報酬が少なく過酷であるため、なり手不足に苛まれているという。山本は「本当にインスペクターが足りない。東日本のインスペクターでマスターをやられているのは3人。必ずその3人の誰がいなきゃいけない。根性ある方は、ぜひJBCに研修に来ていただきたい」と呼びかけた。

(『ABEMA的ニュースショー』より)