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 新卒採用された会社でどこに配属されるかは、今後の人生を左右される重大な出来事と言えるでしょう。今回は、入社早々いろんな経験をした新入社員の男性に話を聞いてきました。彼はこの会社が第一志望で、入社が決まった時は大喜びでした。でも、そんなウキウキ気分も長くは続かなかったようです。大学卒業まで平穏無事に過ごしてきた彼に、一体何が起きたのでしょうか……。
◆憧れて入社した会社だったが…

 理系の大学を卒業し、以前から憧れていた精密部品メーカーに就職した矢口さん(仮名・24歳)。幼い頃から機械いじりが好きで、この会社を選んだそうです。

「会社説明会に参加した時、グローバルに展開する企業をアピールするプレゼンと、キャリアに関係なく積極的に製品開発に参加できるという社風など、思っていたより魅力的な印象を受け、ますます入社願望がわきました」

 希望通り就職試験にパスした矢口さんですが、入社初日に目を疑うような書類を手渡されたそうです。

◆初仕事はパートリーダー

「就業に関することが書かれた書類に混じり、<オリエンテーリングについて>と書かれたA4一枚の用紙がありました。なにげなく目を通すと、そこには<勤務場所:製品倉庫>と書かれてあったんです。思わず心の中で『倉庫!?』と叫んでいました」

 入社1年目の配属先は流動的で、文系理系に関わらずさまざまな部署を体験させられることが後日判明したものの、出鼻をくじかれた矢口さんは少しがっかりモードだったようです。

 本社の裏手にある製品倉庫が勤務場所となった矢口さん。初日にいきなり洗礼を受けることになります。

「先輩社員に連れられ、製品倉庫の詰所に出向いたのですが、そこには8名の女性パート従業員が立っていました。みんな自分より年上な感じで、中には母親と同年代くらいの人もいました。とにかく第一印象が大切だと思い、元気よく『矢口です。これからしばらくよろしくお願いいたします!』とあいさつしたんです。すると、いかにもベテランそうなBという女性が『辞めないでね』と、ボソッと言ったんです。その迫力ある口調に、少しビビったのを覚えています」

◆立て続けに起こったアクシデント

 先輩社員が「じゃ、よろしくね。うまく束ねてよ」と、矢口さんの耳元でささやきその場を離れ、矢口さんのパートリーダーとしての第一日目が始まりました。矢口さんが製品倉庫に配属されて1週間がたったある日、パートのAさんが業務中に負傷しました。倉庫内を行き交うカートと接触したのだそうです。

「詰所でシフトを確認していたら、いきなり作業場から『ギャー』という悲鳴が聞こえたんです。急いでその場所まで行くと、Aさんが床にうずくまっていて、周りには人だかりができていました。救急車を呼ぼうとしたのですが、本人から大丈夫だと言われ、しばらく詰所で休んでもらいその日は早退させました」

 Aさんによると「物音がしたので振り向いたら、カートが勢いよくこちらへ向かってきて、そのままぶつかりました」とのこと。あいにく目撃者はおらず、防犯カメラも確認したそうですが、他の荷物の死角になって詳細が分からずじまいでした。

◆パートさんに聞き取り調査すると

 翌日、さらに問題が起こってしまいます。

「8人いるパートのうち、5人が同時に欠勤したんです。Aさんも、今回のけがで当分休むので、現場にはBさんとCさんだけになりました。とりあえず、緊急事態を上司に報告し、他部署のスタッフを一時的に配置転換してもらって急場をしのぎました」

 矢口さんは、その日に出勤していた古株のパートBさんと、1か月前に入ったばかりのパートCさんから話を聞くことにしました。