京王バスの"ビジネスネーム導入"に反響「すべてのサービス業に取り入れて」 乗務員のプライバシー保護の観点
新宿、渋谷、多摩地域を拠点に路線バスなどを運行する京王電鉄バスグループは、車内で掲示する乗務員の氏名について、本名とは異なる「ビジネスネーム」を4月1日から選択可能とした。
乗務員のプライバシーに配慮するため、バスやタクシーの運転手の氏名を掲示する義務は2023年8月1日に道路運送法などに基づく省令改正によって廃止された。東急バス(東京都目黒区)は3月1日から車内の「乗務員氏名」の掲示を取りやめるなど、各社が対応に動いていた。
京王バスも昨年8月から対応を検討し、今回のビジネスネーム導入に至った。それに伴って、乗務員はバスに乗って運転する際に胸のネームプレート(胸章)を外すという。
ビジネスネーム(または本名)は、これまで通り、車内の運賃表示板に掲示される。
●「プライバシー確保」の観点で導入された
京王バスの広報によると、乗務員は任意でビジネスネームか本名の掲示を選択する。乗務員自身が作成するビジネスネームは、「山田太郎」のように氏名形式で、漢字・ひらがな・カタカナが使えるという。
広報は弁護士ドットコムニュースの取材に「乗務員のプライバシーの確保という観点で導入した」と説明。4月からビジネスネームを選択した乗務員の割合や理由については「プライバシー保護の観点から回答を控える」とした。
京王バスには、年間700件近い「お褒めのお言葉」が電話や投書などで届くといい、その多くは乗務員の名前が特定された形で伝えられるという。
●「すべてのサービス業で取り入れてほしい」
京王バスの取り組みが発表されると、SNSでは「本名で仕事をしたくない」と考える人から、「すべてのサービス業で取り入れて欲しい」など賛同の声が寄せられた。
接客した客からネット上にクレームを書き込まれたり、SNSで友達申請されたりするなど、ビジネスとプライベートを切り分けられない悩みが散見される。