メイシーズ傘下の米百貨店チェーン、ブルーミングデールズ(Bloomingdale’s)が、ヘアケア分野に力を入れている。

同社は3月から、ニューヨーク59番街の旗艦店などの店舗内で30種類以上のヘア商品やアクセサリー、香水、ツールなどを「カルーセル」というコンセプトで提供する。さまざまなテーマに沿って商品を厳選するこのコンセプトを、ブルーミングデールズは2019年に初導入した。

高まる顧客のヘアケア商品ニーズ



同社はこれまでにもヘアケア商品をオンラインや店舗で取り扱ってきたが、カルーセルコンセプトのもとで展開したのは今回が初めてだ。ヘアケア商品はカルーセルで約10週間販売したあとに、店舗に常設される予定だ。

カルーセルの一環としてブルーミングデールズは、AGヘア(AG Hair)、イルズフォーミュラ(Iles Formula)、IGK、リビングプルーフ(Living Proof)、オルタナ(Alterna)、レヴエアー(RevAir)、イヴ・デュリフ(Yves Durif)など新たなブランドを取り扱う。

3月中は、バンブル&バンブル(Bumble & Bumble)のようなブランドが、ドライスタイリングや商品のデモンストレーションなどを店内の顧客に提供していく。

「当社がヘアケア商品を扱っていることを、顧客に示すのが目的だ。顧客がヘア関連の商品をもっと購入したいと考えていることは、オンラインでの販売を通じて把握している。商品の使い方を紹介するアクティベーションを店舗で実施することは、私たちにとって存在感を示す大きなチャンスだ」と語るのは、ブルーミングデールズのファッションディレクターを務めるガランテ・フランク氏だ。

同社はオンラインでのヘアケア商品の売上高については明らかにしなかったが、ヘア関連のeメールマーケティングが成功を収めているという。

ヘア商品の人気は世界的なトレンド



ブルーミングデールズの親会社であるメイシーズ(Macy’s)は、2月末に2023年度第4四半期決算説明会を実施し、メイシーズの150店舗の閉鎖、そしてブルーミングデールズとブルーマーキュリー(Blue Mercury)の実店舗拡大を発表した。

具体的には、ブルーミングデールズはブルーミーズ(Bloomies)という小規模店舗とブルーミングデールズ・アウトレット(Bloomingdale’s Outlets)の展開を加速させ、今後3年間で15店舗オープンさせる予定だという。

最近のGlossy記事でも報じたように、オフプライス小売店はここ数カ月、美容ブランドと消費者の双方から関心を持たれ、注目を集めている。ブルーミングデールズの純売上高は前年同期比で3.5%増加したが、直営店ならびにフランチャイズ店の既存店売上高は1.6%減少している。

「ラグジュアリーに関する議論についてまとめると、我々は好調で成長性があり、強力な投資プロファイルを持つブルーミングデールズとブルーマーキュリーには高い信頼を置いている。今こそこの勢いを活用すべき時期であり、この投資が売上増や利益拡大を促進するものと期待している」とメイシーズCEOであるトニー・スプリング氏は決算説明会で語った。

「ヘアケアはヘアは世界的なトレンド」



ヘア関連商品の人気は、百貨店全体で高まっている。スタイリング専門サロン「ドライバー(Drybar)」は、2月にワシントン州ベルビューにあるノードストローム(Nordstrom)の旗艦店に出店した。

メイシーズも昨年の拡大に伴い、高級ビューティーの小売コンセプトを展開する店舗でヘアケアに注力してきた。2022年にはダイソン(Dyson)が南フロリダのサックス・フィフス・アベニュー(Saks Fifth Avenue)の店舗内に、米国初のサロンをオープンしている。

「ヘアは世界的なトレンドとして盛り上がりを見せている。そして我々の顧客は非常に多様なため、ヘアケア分野ですべての顧客にサービスを提供する方法を検討している」とフランク氏は話す。なぜブルーミングデールズがこれまで店頭にヘアケア専門のコーナーを設けず、オンラインでのみ提供してきたのかについて尋ねたところ、その理由は分からないとしながらも、同社としては今がチャンスだと捉えていると強調した。

「顧客の声に耳を傾け、ジャーニーを簡素化し、顧客の生活のあらゆる側面でサービスを展開していこうと努めている」。

[原文:Bloomingdale’s becomes latest department store to lean into hair care]

EMMA SANDLER(翻訳:田崎亮子、編集:都築成果)