中国、開発中の次世代有人宇宙船と月着陸船を「夢舟」「攬月」と命名
中国載人航天工程弁公室(CMSA、中国有人宇宙プロジェクト弁公室)は2024年2月24日、中国で計画されている有人月探査ミッションで使用される次世代有人宇宙船と月着陸船の名称が決定したことを発表しました。【最終更新:2024年2月28日11時台】
発表によると、次世代有人宇宙船は「夢舟(むしゅう、Mengzhou)」と命名されました。CMSAによると、この名前には有人月探査が運ぶ中国人の宇宙への夢や宇宙探査の新たな旅の始まりといった意味が込められています。夢舟は有人月探査ミッションで使用される月面着陸ミッション用(クルー3名)と、宇宙ステーションミッションで使用される地球近傍用(クルー7名)の2種類が開発される予定で、このうち月面着陸ミッション用のバージョンは「夢舟Y」と呼ばれています(※中国語の「月」をピンインで表記した「Yue」の頭文字を付け足したもの)。
月着陸船は毛沢東の詩「可上九天攬月(天に昇り月をつかみとる)」に由来する「攬月(らんげつ、Lanyue)」と命名されました。攬月は2名の宇宙飛行士が月周回軌道から月面に着陸し、再び月周回軌道へ戻るために使用されます。次世代有人宇宙船と月着陸船の名称は2023年8月〜9月にかけてCMSAが一般公募を行い、約2000件寄せられた応募の中から専門家によって選ばれました。
CMSAによると、有人月探査ミッションでは最初に攬月着陸船が打ち上げられて月周回軌道に投入されます。続いて宇宙飛行士を乗せた夢舟宇宙船が打ち上げられ、月周回軌道で攬月とドッキング。攬月に移乗した宇宙飛行士は夢舟から分離して月面へ着陸し、月面活動を行います。活動を終えた宇宙飛行士は攬月に乗って離陸し、月周回軌道で再び夢舟とドッキング。夢舟へと移乗した宇宙飛行士は攬月を分離して地球へ帰還します。
中国は2030年までに同国初の有人月面着陸実現を目指しています。有人月探査ミッションで求められる迅速なランデブー・ドッキング技術や月面での船外活動技術について、中国国家航天局(CNSA)は中国宇宙ステーション「天宮」(CSS)への物資補給やCSSでの船外活動で実証されていると述べています。
CMSAによれば、夢舟宇宙船、攬月宇宙船、および次世代ロケット「長征10号」は試作モデルの開発段階に入っており、すべての作業が順調に進められているということです。
Source
CMSA - 中国载人月球探测任务新飞行器名称正式确定CMSA - 载人月球探测任务新飞行器名称征集活动公告CNSA - 中国载人月球探测任务新飞行器名称正式确定人民網 - 中国の次世代有人宇宙船、「夢舟」と命名
文/sorae編集部