箱根駅伝を45年以上追い続けるスポーツライターが語る今後の展望とは

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2024年、第100回を迎える箱根駅伝は正月の風物詩であり、テレビ中継の世帯視聴率は30%前後を誇り、多くの人が注目する大学スポーツだ。そんな箱根駅伝を45年以上追い続けているのが、『箱根駅伝に魅せられて』(生島淳著、KADOKAWA刊)の著者であるスポーツライターの生島淳氏だ。

本書では、生島淳氏がこれまでに箱根駅伝を通じて思ってきたこと、取材を通じてこの大会がどのような人たちによって彩られてきたのか、そして、なぜここまで惹きつけられるのか、その魅力を紹介する。

箱根駅伝は2015年以降、青山学院大学の時代が到来。そして、2002年から4連覇を達成した駒澤大学が、2022年の箱根駅伝で優勝し復活。駒澤大学は2023年10月の出雲駅伝、11月の全日本大学駅伝を制し、史上初の2年連続3冠を狙う。2024年の第100回、そしてその先を見据えると、実績抜群の駒澤大学と青山学院大学の両校に、99回大会で上位に入った学校が挑戦していくことになる。厚底シューズ時代とはいえ、10年前の優勝タイムがシード権獲得ラインとなるまでにレベルが上がっている大学駅伝で、生島氏は今後の大学駅伝はどのようになると予想しているのか。

リクルーティングの流れを見ていると、2020年代は中央大学と順天堂大学の時代がやってくるのではないか、と生島氏は予感しているという。そして優勝したならば、それに引き寄せられる高校生、中学生が出てくる。中央大学の藤原正和監督は1981年生まれ、順天堂大学の長門俊介監督は1984年生まれ。30、40代の指導者がメインストリームの時代に入ってくるという。

また、各大学にとって生命線となるのがリクルーティングだ。高校時代に活躍した選手たちの進路を見ると、2つのことがポイントとなっている。まず、希望する進学先に高校の先輩がいるかどうか。先輩がいれば、部内の雰囲気や練習内容なども把握できる。そして、エリートの選手だと、大学の監督がどのような育成プランを持って指導してくれるのかという要素も重要になってくる。

「優勝できそう」「これから強くなりそう」という漠然としたムードも、実は大きな要素の一つ。駒澤大学もそうであり、一時期、明治大学にもそうした雰囲気があった。2010年代に入って青山学院大学が上り調子となって高校生たちを引きつけ、2020年代に入ってからは中央大学の時代になった。高校から大学への流れを見ていくと、いろいろと発見があり、隠れた箱根駅伝の楽しみ方となる。

箱根駅伝を彩る名将たちや各大学の現場を取材した選手たちの話など、本書から箱根駅伝の魅力を読むことで、100回大会をより楽しむことができるはずだ。

(T・N/新刊JP編集部)

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