「敦賀乗り換え」解消へ少しずつ前進中。

施工上の課題を解決するため事前調査を実施中

 鉄道・運輸機構は2023年12月、「北陸新幹線事業推進調査に関する連絡会議」の内容を公表。その中で、難工事が予想される新大阪駅については、地盤改良も検討していることを明らかにしました。


北陸新幹線(画像:写真AC)。

「北陸新幹線事業推進調査に関する連絡会議」は、国土交通省鉄道局と鉄道・運輸機構が事務局となり、福井県、京都府、大阪府も参加しています。これまで2023年4月と8月に開催されており、12月の会議は3回目となります。

 北陸新幹線は、金沢〜敦賀間が2024年春に開業する予定です。ただ、敦賀以西の延伸をめぐっては、環境影響評価手続きの遅れなどにより、着工の目途が立っていません。そのため来春以降、関西から北陸へ向かう際は、敦賀駅で在来線特急から新幹線に乗り継ぐ形が当面続くことになります。
 
 鉄道・運輸機構は敦賀〜新大阪の着工に向け、これまで工事実施計画の認可後に行っていた調査も含め、施工上の課題を解決するための調査を先行的・集中的に実施しています。

新大阪駅は本体構造物の設計計算に着手へ

 8月の会議では、敦賀〜新大阪間における施工上の課題の一つに「新大阪駅の施工難易度が高いこと」があげられました。機構が2019年にまとめた環境影響評価書では、新大阪駅は2面4線の地下駅を想定したイメージ図が公表されています。

 ただ、新大阪駅周辺は既に、東海道・山陽新幹線、JR在来線、大阪メトロ御堂筋線、幹線道路、ビル群などの構造物が密集。大型構造物と近接・交差する条件での工事となります。また、地層が複雑で地下水対策も難しいため、課題に対応した施工方法を検討する必要があると指摘されていました。

 鉄道・運輸機構は8月時点で、地下水位など駅の概略設計に向けた諸条件を整理していました。その後、11月時点では諸条件の整理が終わり、本体構造物と土留めの設計計算を行っているといいます。さらに、近接構造物への影響も解析しているほか、地盤改良についても検討が行われています。

 鉄道・運輸機構は、今年度に実施している調査の結果を見極めながら、来年度についても、事業推進調査を継続する方針。難工事が予想される新大阪駅ですが、着工に向けた調査は着実に進んでいるようです。