住宅ローンの返済がきつい…支払いが苦しいときの対処法について解説します
自宅を購入した後、住宅ローンの支払いが家計支出の多くを占めている人は少なくありません。なかには、月々の住宅ローン返済がきついと感じている家庭もあることでしょう。
この記事では、住宅ローン返済がきついと感じている人の実態やよくある原因を紹介し、住宅ローン返済の負担感を軽減する対処法も解説します。
「住宅ローンの返済がきつい」と感じる人は多い
国土交通省の「令和4年度 住宅市場動向調査」によると、注文住宅・分譲住宅・中古住宅を取得した人の住宅ローンの負担感は次のとおりでした。
この結果より、全体で半数以上の人が住宅ローン返済を負担に感じていることがわかります。とりわけ新築の注文住宅・分譲住宅を取得した人の負担感が強くなっています。
住宅ローン返済負担率(返済比率)の平均
先ほど紹介した調査報告書から、取得した住宅の種類ごとに年間返済額と返済負担率(返済比率)の平均を見てみます。なお、本来の返済負担率は住宅ローン以外の各種ローンを含めて計算されるものですが、ここでいう返済負担率は年収に占める年間住宅ローン返済額のみの割合になります。
上記の平均よりも返済負担率が大幅に高い場合、組んでいる住宅ローンの金額が高すぎる可能性があります。
住宅ローン返済がきついと感じるときのよくある原因
ここでは、住宅ローン返済がきつくなる原因としてよく挙げられるものを紹介します。
返済できないような条件で住宅ローンを契約してしまった
返済負担率が高すぎると、借り入れ当初から住宅ローン返済がきつくなります。世帯年収に対して借入額が多すぎると、収入の多くをローン返済にあてざるをえなくなるからです。
また、借入額はそれほど高くなくても、返済期間を短めに設定すると返済はきつくなります。返済期間を短く設定すると、最終的に支払う金利の総額は少なくて済みますが、月々の返済額は高くなり、返済期間中の経済的な負担は増します。契約後住宅ローンを問題なく支払えるのかどうか、冷静に検討するよう心がけましょう。
ほかの支出が多い
返済負担率は年収に対するローン返済額の割合であり、ローン以外の支出については反映されません。返済負担率が平均的であるにもかかわらず住宅ローン返済を負担に感じている場合、それ以外の支出が多すぎる可能性があります。
ただし、家族の人数が多ければ、食費や教育費などの支出が多くなりますし、返済負担率が低いからといって、適切な住宅ローンの借入額になっているとは限りません。各家庭の支出や生活レベルに合わせて、無理なく支払っていける金額を借りるようにしましょう。
修繕費を考慮に入れていなかった
住宅を所有するにあたってかかるのは取得費用だけではありません。購入後に修繕やメンテナンスが必要になれば、自分で費用を負担する必要があります。こうしたコストを考えずに住宅ローンを組んでしまうと、想定外の費用がかさんで返済がきつくなるかもしれません。
特に、キッチンやトイレなどの水回りで故障が発生すると、緊急対応が必要なうえに多額のリフォーム費用がかかるケースもあります。そのときの預貯金で支払うのが難しければ、住宅ローンに加えてリフォームローンを新たに組まなければなりません。
その場合には複数のローンを並行して返済しなければならず、いっそう返済の負担が重くなってしまいます。
世帯収入が減ってしまった
住宅を取得した時点では返済負担率に余裕があったものの、何らかの理由により返済期間中に世帯収入が減ってしまい、ローン返済がきつくなるパターンもあります。
失業や転職など以外に、育児や介護などライフステージの変化による休業や時短勤務でも世帯収入は減少します。
住宅ローンの返済がきついときの対処法
住宅ローンの返済がきついと感じている場合、どのようにすれば負担を軽減できるのでしょうか。住宅ローン返済がきついときに試してみるとよい対処法を解説します。
金利が低い住宅ローンへの借り換え
金利が低ければ低いほど、毎月の返済額は減ります。
例えば3,000万円の住宅ローンを固定金利2%で契約した場合、毎月の返済額は9万9,378円、総返済額は4,173万8,968円ですが、金利が2.2%となると、毎月の返済額は10万2,485円、総返済額は4,304万3,822円となります。わずか0.2%金利が上がるだけでここまで差が出てしまいます。
そのため、今借り入れている住宅ローンより、少しでも低い金利のものがあれば、借り換えを検討してみてもよいでしょう。ただし、借り換えには手数料(目安として借入金額×2.2%)が必要です。手数料も考慮したうえで、本当に負担が軽くなるのかしっかりと確認するようにしてください。
金利タイプの見直し
金利タイプの見直しが返済負担の軽減につながるケースもあります。
低金利状態が長く続いていることから、近年変動金利を選択する人が多くなっています。しかし、今後社会情勢の変化によって金利が上昇局面に転じそうな気配があった場合、早めに変動金利から固定金利に見直すことで将来の返済負担を軽くできる可能性があります。
ただし、金利がすでに上昇したあとで固定金利に変更すると、より負担が重くなる可能性が高くなります。金利が今後どうなるのか完全に予測することは難しいのですが、上昇の流れがあったときは早めに行動することがおすすめです。
支出を減らす
住宅ローンの返済額が変わらなくても、家計を見直して支出を減らせば経済的な負担が軽減されます。
例えば、不要な保険を契約していないか見直ししてみましょう。住宅ローン加入時に団信に契約していれば、死亡もしくは高度障害を負ったときに住宅ローンの残高はなくなります。団信と同じような生命保険であれば、解約してもよいかもしれません。
世帯年収の身の丈にあった支出になるように家計を見直すことで、住宅ローン返済の負担感も和らぐでしょう。
収入を増やす
支出を減らすよりハードルは高いものの、収入を増やして返済負担率を下げる方法もあります。
パートタイムで働いている人であれば、フルタイムワーカーや正社員を目指してみてはどうでしょうか。すでに正社員として働いているなら、新たに副業に取り組んで収入源を増やす方法も収入増加を見込めます。
家を売却する
ここまで紹介した方法を駆使しても住宅ローン返済がきつい場合、家を任意売却するという最終手段があります。売却代金で住宅ローンを完済し、収入規模に見合った住まいへ引っ越すようにします。
売却代金が住宅ローンの残債と同等かそれ以上でないと完済できないため、ある程度返済が進んだ状態での検討が望ましいでしょう。また、賃貸物件を借りるにせよ、新たな住宅を購入するにせよ、一定の住居費は必ずかかる点に注意が必要です。
まとめ
住宅ローンの返済がきつくなる原因は人それぞれですが、収入規模に合わせて支出を減らすか、収入を増やしていくしか対処方法はありません。一般的に収入を増やすよりも支出を減らすほうがハードルは低く、すぐに実践できる方法もご紹介しました。
どう工夫しても住宅ローン返済の負担感が強い場合、マイホームを売却してより安い家に住み換えるという最終手段もあります。