事業化してから慌てないように、前もって準備が進められています。

地質や用地関係も重点調査


北陸新幹線のW7系電車(画像:写真AC)。

 北陸新幹線の整備を担当する鉄道・運輸機構は2023年12月5日(火)、11月期の「北陸新幹線事業推進調査」を発表。ここでは、2024年3月に延伸開業予定の「金沢〜敦賀」から更に先の、「敦賀〜新大阪」の準備状況について整理されています。

 敦賀から新大阪までの概略ルートは、「小浜・京都駅・松井山手・新大阪」というもの。事業化してからすぐに着工できるよう、今のうちから「トンネルは掘れるのか?土はどうする?地下水は?」「用地は取得できそうか?」などの調査が進められています。

 また、他の道路や河川の事業と互いに干渉しないよう、国や自治体との事前調査や協議も進められています。8月時点で約70件、11月時点で161件すべて協議開始済みで、うち85件はすでに確認済となっています。

 さらに、地下駅として計画されている京都駅と新大阪駅についても、すでに概略設計の準備に入っています。大事なのは、地質や地下水位。8月時点ですでにその調査結果と、それにもとづいた設計条件の整理は終わっています。11月時点では「本体や土留めの設計計算、近接構造物への影響」など解析中となっています。新大阪駅については地盤改良も検討中とのこと。

 今後、まずは環境アセスメントの手続きが待っています。無事完了したあと、「着工5条件」とされる「安定的な財源見通しの確保」「収支採算性」「投資効果」「JRの同意」「並行在来線の経営分離についての沿線自治体の同意」をクリアすれば、いよいよ事業化を待つ段階となります。

 なお、これに向けて国土交通省はすでに、2024年度予算の概算要求額として約18億円を計上。整備新幹線の「敦賀延伸」「札幌延伸」の次は、いよいよ「新大阪延伸」の着工が近づいてくることとなります。