日本航空(JAL)は10月25日、かつてパイロットが使用していて現在は不要となった紙製の航空路図(ジェプセンチャート)を活用した封筒と栞を作り、羽田空港で利用客に配った。

ジェプセンチャートは世界中の空に定められた最低飛行高度や距離、無線通信の周波数などが記載された紙製の航空路図で、パイロットはかつてこのチャートを常に複数枚携行して乗務していた。近年になって航空業界全体でマニュアルやチャートの電子化が進んだことから、JALではパイロット約2,000人分の紙製チャートが一斉に不要になった。

▲パイロットがかつて使っていた紙製のチャート

一部はそのまま廃棄していたが、現場では「SDGsの観点からなにか有効活用できないか」という声が上がっていた。とあるパイロットが会社に許可を取った上でチャートを加工して封筒を作り、ポストカードを入れて乗客に配っていたことから、これを組織として取り組むことになったという。

製作には、JALグループで障がい者が在籍するJALサンライトの社員も協力。封筒を裁断した際の切れ端を活用して栞も作り、10月は乳がんの早期発見を啓発するピンクリボンキャンペーンに取り組んでいることから、ピンクのリボンを付けた。

今回は初めての取り組みとして約200部を用意。パイロットや地上係員、JALサンライトの社員が東京/羽田発青森行きJL145便(ボーイング737-800型機、機体記号:JA344J)の乗客に配布した。搭乗口ではパイロットが取り組みについて説明した。JALは今後も取り組みを拡大していきたいとしている。