大活躍の久保建英は「地元のアイドル」 相手番記者が指摘「ソシエダはR・マドリードよりも成長できるチーム」【現地発】
ビルバオ戦で久保が今季5ゴール目、スペイン各紙も高評価
久保建英はまたもやバスクダービーで素晴らしい活躍を見せ、今季5回目となるMVPに輝いた。
ミッドウィーク開催となった前節バレンシア戦、イマノル・アルグアシル監督は過密日程を考慮し、スタメン7人を入れ替える大幅なローテーションを実施。これにより久保は今季初めてベンチスタートとなり、試合中もアップすることなく、開幕から公式戦8試合目にして初の出番なしとなった。
十分な休養を与えられてリフレッシュした久保は、9月30日にホームで行われたアスレティック・ビルバオとのバスクダービーで2試合ぶりに先発復帰。レアレ・アレーナ史上2番目に多い3万8229人の観客で埋め尽くされた会場が青と白のクラブカラーに染まるなか、久保はいつもどおり4-3-3の右ウイングでプレーを開始した。
相手の厳しいマークに遭い簡単には突破を許してもらえなかったが、それでもブライス・メンデスへのヒールパスでスタンドを沸かせ、サディクへのスルーパスを狙うなど、序盤からチャンスメイクを仕掛ける。さらに自らもシュートを放ち、B・メンデスのシュートシーンも演出した。
1-0で折り返した後半3分、B・メンデスが左サイドから入れたグラウンダーのクロスが外に流れたところ、久保がダイレクトで合わせ2-0と突き放しに成功する。これはチームに大きなアドバンテージを与える今季5点目となり、ホームでのバスクダービー2季連続弾となった。ダービーという大舞台を得意とする久保の得点によって弾みがついたチームは、その後もゴールネットを揺らし3-0と圧勝。フル出場した久保は今季5回目のMVPに選出された。
チーム得点王である久保のビルバオ戦でのパフォーマンスに対し、スペイン各紙は全体的に高い評価となった。地元紙「ノティシアス・デ・ギプスコア」は、「ラ・レアルのスターであり、サポーターのアイドルだ。ユーリが完璧に彼をコントロールしていたため、最初の不注意で2-0にされるまで問題が起こることはないと思われていた。久保は輝きを放たなくても、常にこのチームで決定的な仕事をすることができる」と評し、7点(最高10点)をつけた。
もう1つの地元紙「エル・ディアリオ・バスコ」は、「アスレティックが久保のエリアにベストのDFを集結させたため、最も輝いた試合の1つとはならなかった。しかし冷静にゴールを決め相手を動揺させた。出番がなかったのはバレンシア戦のみで、ラ・リーガ通算成績は7試合5得点。スペクタクルな数字だ」と称賛し4点(最高5点)を与えた。「マルカ」は2点(最高3点)、「AS」は最高の3点とともに高かった。
相手クラブ番記者も驚き「久保は幸先の良いスタートを切っている」
試合後、スペインのラジオ局「カデナ・セル」でアスレティックの番記者を務めるイバン・マルティン氏は、ライバルチームの選手である久保のパフォーマンスを次のように見ていた。
「久保は今日の試合でも重要な働きをした。全体的にはアスレティックが上手く抑えこんでいたが、あの2点目はバスクダービーの結果を左右する、特に貴重なものだった。彼は今シーズン、幸先の良いスタートを切っていると思う」と感想を述べた。
またイバン・マルティン記者は最近たびたび噂に上る、久保のレアル・マドリード復帰の可能性についても触れ、「今の久保はあのビッグクラブに戻れるだけのクオリティーを持ち合わせていると思う。しかし彼にとってラ・レアルは、レアル・マドリードよりもはるかに大きく成長できるチームだ。彼は、ここのほうが快適にプレーできると思う。でもこれはあくまでも現時点での話だけどね」との見解を示していた。
一方、スペインのラジオ局「カデナ・コペ」でソシエダの番記者を務めるマウリシオ・イディアケス氏は、「久保はバスクダービーで再びゴールを決めるような実力の持ち主で、ミケル・オヤルザバルと同じような地元のアイドルになりつつある。ラ・リーガ7試合で5ゴールは見事としか言いようがない。また終盤のユーリとの小競り合いでも引き下がらずに逞しさを見せたのも良かった。今季ここまでのパフォーマンスは本当に素晴らしい。我々はどこかのクラブが彼のことを連れていってしまうことに恐れを抱いているよ」と熱を帯びて話してくれた。
ソシエダはこの後、再び中2日という厳しい日程の中、3日にUEFAチャンピオンズリーグ(CL)グループリーグ第2節でレッドブル・ザルツブルクとアウェーで対戦する。さらにその5日後、敵地でのラ・リーガ第9節でアトレティコ・マドリードとCL出場権の順位を懸けたハードな戦いに臨むことになる。このように気の抜けない試合が続くため、アルグアシル監督にとって絶対的な選手の1人である久保は、再び次の代表ウィークまで休みのない日々を過ごすことになりそうだ。(高橋智行 / Tomoyuki Takahashi)