せっかくマンションを買うのであれば、将来に向けて資産価値が高まるようなエリアで購入したいものです。ところが、値上がりが期待できそうなエリアは、都心やその周辺などがほとんどで、価格が高くすぎてとても手が届かない―。そんなふうに諦めている人も多いのではないでしょうか。でも、探してみれば比較的リーズナブルな価格帯ながら、大幅に価格が上昇しているエリアもあるのです。

大幅な値上がりエリアは都心やその周辺が中心だが…

不動産データバンクの株式会社東京カンテイでは、毎年「中古マンションのリセールバリュー調査」を実施しています。竣工から10年が経過した分譲マンションのうち、現在中古マンションとして取引されている物件を抽出、10年前の分譲価格と比較、分譲時価格の何%で取引されているかを算出したデータです。

たとえば、10年前に5,000万円で分譲されたマンションが、現在中古マンションとして6,000万円で取引されていれば、リセールバリューは6,000万円÷5,000万円×100(%)で120%になります。反対に4,000万円に下がっていれば、4,000万円÷5,000万円×100(%)で80%ということです。リセールバリューの数値が大きいほど値上がり率が大きく、資産価値の上昇が期待できるエリアと考えて差し支えないでしょう。

その首都圏のリセールバリューは、2022年の調査で平均132.5%でした。10年前に比べて3割以上上がっているわけですが、リセールバリューが平均以上の150%以上になっているエリアは、都心やその周辺に集中しています。たとえば、最もリセールバリューが高かったのは東京メトロ南北線の「六本木一丁目」駅の251.6%。2位が東京メトロ千代田線の「新御茶ノ水」駅の208.1%、3位が小田急小田原線の「代々木上原」駅の192.0%でした。

リーズナブルな価格で買える資産価値が高いエリア

こうした駅で10年前に新築マンションを買っておけば、10年後の現在はその価値が2倍前後まで上がったということです。しかし、現在では価格が高くなりすぎていて、簡単に買えるようなエリアではないのが現実です。

10年前の分譲時の価格を見ると、「六本木一丁目」駅の平均坪(約3.3平方メートル)単価は483.6万円ですから、20坪(約66平方メートル)のマンションで9,672万円です。現在の流通価格は坪1,216.7万円なので、20坪では2億4,334万円に達します。とても平均的な会社員では手が届かないでしょう。

「新御茶ノ水」駅や「代々木上原」駅はやや価格が低くなるといっても、現在の流通価格は20坪で1億円を超えてしまいます。やはりこの価格帯では買えないという人が多いのではないでしょうか。

ところが、少し視野を広げてみると資産価値が急速に高まっていながら、比較的リーズナブルな価格帯で購入できるエリアもあります。

10年前との騰落率上位は東京23区が中心

不動産テックサービスの「マンションレビュー」を運営する株式会社ワンノブアカインドでは、「全国市区町村別の中古マンション価格ランキング」と「全国市区町村別の中古マンション価格騰落率ランキング」を作成しています。そのうち、騰落率ランキングというのは、1年前や3年前、10年前などと比べての価格上昇率をランキング化したものです。

10年前との騰落率を見ると、東京カンテイのリセールバリュー調査と同様に、上昇率が高いエリアは東京23区など、そもそもの価格水準の高い市区町村が上位にランクインしています。

2023年6月の調査では、図表1にあるようにトップは東京都中央区で、2位が川崎市川崎区、3位が東京都墨田区と、ベスト10のうち東京23区が6区を占めています。一部例外はありますが、比較的都心に近い市区町村が中心で、価格帯も高めの市区町村が多くなっています。

※価格は70平方メートル換算価格 出典:株式会社ワンノブアカインド

2,000万円台で買える騰落率の高いエリアも

それに対して、注目しておきたいのが3年前との騰落率のランキングです。図表2にあるように、上位には都心やその周辺からは少し離れた市区町村が多く、なかには首都圏以外のエリアも入っています。

※価格は70平方メートル換算価格 出典:株式会社ワンノブアカインド

ランキング上位10市区町村の現在の価格水準も2,000万円台から4,000万円台までで、比較的取得しやすくなっています。

トップの神奈川県藤沢市は、3年前との騰落率は48.08%で、3年間でほぼ1.5倍に上がっています。それでいて、2023年5月の70平方メートル換算価格は3,808万円です。2位のさいたま市大宮区は騰落率45.96%で、2023年5月価格は4,404万円、3位のさいたま市桜区は騰落率45.94%で、価格は2,964万円です。

首都圏であっても、さいたま市桜区、神奈川県平塚市、千葉県柏市、埼玉県草加市のようにランキング上位に入っているのに、2,000万円台で取得できるエリアもあります。

神奈川県で人口増加数が最も多いのが藤沢市

3年前との騰落率トップの神奈川県藤沢市は、神奈川県の南東部に位置し、住宅地、別荘地、リゾート地としても人気の高い都市です。江ノ島、片瀬海岸、鵠沼海岸などがあり、マリンスポーツの愛好者にも人気があります。

東京や横浜のベッドタウンとして、早くから鉄道が敷設され、JR東海道線・湘南新宿ライン・上野東京ライン、小田急江ノ島線、相鉄いずみ野線、江ノ島電鉄、横浜市営地下鉄ブルーライン、湘南モノレールなどの駅があり、都心や横浜方面をはじめ、さまざまな方面への交通アクセスが充実しています。

中心となる「藤沢」駅には、JRや小田急電鉄、江ノ島電鉄が乗り入れ、藤沢市役所などの公共施設、百貨店や飲食店などの商業施設が充実し、生活利便施設がそろっています。そのため、「ARUHI presents 本当に住みやすい街大賞2022」で、藤沢市の「辻堂」駅が第1位になりました。「辻堂」駅の北口には再開発エリア「湘南C-X(シークロス)」があり、湘南エリア最大のショッピングモール「テラスモール湘南」が立地していることなどが評価されてのことではないでしょうか。

参考記事:【本当に住みやすい街大賞2022】第1位 辻堂:再開発により利便性が急上昇、都市とリゾートの融合で進化を続けるシーサイドタウン

首都圏でも人口が減少する自治体が多いなか、利便性の高い藤沢市の人口は増え続けており、神奈川県では人口増加数が最多となっています。住みやすい街として評価されていると同時に、ほかのエリアに比べると比較的リーズナブルな価格帯で住まいを取得できる点などが人口増加につながっていると考えられるでしょう。

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東京に近く、自然にも恵まれたさいたま市桜区

3年前との騰落率では、さいたま市の4区がベスト10に入っていますが、うち浦和区と大宮区は70平方メートル換算価格が4,000万円台、一方で南区は3,000万円台、桜区は2,000万円台と買いやすくなっています。さらに浦和区は3年前と比べての中古マンション価格上昇率は30%台ですから、今買っておけば、将来の資産価値の上昇が期待できそうです。

70平方メートル換算価格が2,000万円台の桜区は、鉄道駅はJR武蔵野線の「西浦和」駅だけですが、2駅隣りの「南浦和」駅に出てJR京浜東北・根岸線に乗り換えれば、「東京」駅までは乗り換え時間も含め最短46分で着きます。通勤や通学に便利な場所でありながら、荒川河川敷の秋ケ瀬公園、荒川総合運動公園などの緑に恵まれた環境です。静かな環境でゆったりとした生活を送りたいという人にとっては、希少性の高いエリアとも言えます。

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首都圏でも、比較的リーズナブルな価格帯で住まいを手に入れることができ、将来的な値上がりも期待できるエリアはまだまだあります。自分たちのライフスタイルに合う街を探してみてはどうでしょうか。

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