持ち家購入者に「駅近重視」戻る? 最寄り駅から徒歩10分未満を35.6%の人が選択|ARUHI『住宅購入に関する調査2023』
通勤や通学で公共の交通機関を使う人なら誰でも、自宅から最寄り駅までかかる時間は気になるところ。最寄り駅に近いほど移動時間を短縮できラクですが、その分だけ物件価格が上がりやすく、駅からある程度離れていたほうが静かに暮らしやすい側面もあります。住宅購入者やこれから住宅を購入予定の人は、徒歩何分程度の物件を選んでいるのでしょうか。
駅までの距離を気にする人が再び増加傾向に?
【住宅購入者・住宅購入検討者】最寄り駅までの徒歩分数
まず、住宅購入者と住宅購入検討者に、最寄り駅まで徒歩何分の家を購入したか(購入する予定か)聞いたところ、平均の徒歩分数は14.2分(中央値10.0分)でした。
割合で見ると、「5分未満」が10.2%、「5~8分未満」が21.7%、「8~10分未満」が3.7%、「10~13分未満」が最多で24.8%、「13~15分未満」が1.2%、「15~20分未満」が16.7%でした。35.6%の人が徒歩10分未満、61.6%の人が徒歩15分未満の家を選択しています。
【住宅購入者・住宅購入検討者】最寄り駅までの徒歩分数
過去の同調査と比較すると、2021年度は平均14.8分、2022年度は平均15.0分、2023年度は平均14.2分。平均値では大きな変化はないものの、「5分未満」と回答した人は、2021年度は9.0%でしたが、2022年度には5.7%に減少。2023年には10.2%に増加しています。コロナ禍の生活で駅までの距離を気にしない人がやや増加傾向にあった昨年から一転、駅までの距離を重視する人が再び増えつつある様子がうかがえます。
【住宅購入者】最寄り駅までの徒歩分数
すでに住宅を購入した人に、最寄り駅まで徒歩何分の家を購入したか聞いたところ、平均は16.3分(中央値12.0分)でした。
割合で見ると、「5分未満」が11.3%、「5~8分未満」が最多で20.3%、「8~10分未満」が5.0%、「10~13分未満」が15.7%、「13~15分未満」が2.3%、「15~20分未満」が16.3%という結果に。3分の1以上の人が徒歩10分未満の家を購入しており、徒歩13分未満まで含めれば半数以上を占めています。その一方、最寄り駅まで30分以上という人も18.3%と、2割近くいました。
【住宅購入検討者】最寄り駅までの徒歩分数
住宅購入検討者に購入予定物件の最寄り駅までの徒歩分数を聞くと、平均は12.1分(中央値10.0分)でした。割合で見ると、「5分未満」が9.0%、「5~8分未満」が23.0%、「8~10分未満」が2.3%、「10~13分未満」が最多で34.0%、「13~15分未満」が0%、「15~20分未満」が17.0%という結果に。
徒歩10分未満と回答した人は全体の3分の1を超え、徒歩13分未満の人まで含めると7割に迫る結果となりました。2022年度の結果と同様、住宅購入者と比べて徒歩分数が短い傾向から、検討時には駅に近い物件が希望していても、実際には予算などの兼ね合いで徒歩分数の許容範囲を広げて購入していると考えられます。なお、2022年度の調査では、徒歩分数の平均は12.5分(中央値10分)。昨年よりも若干駅近を求めている傾向も見えてきました。
【物件種別】最寄り駅までの徒歩分数(住宅購入者のみ)
住宅購入者を対象に物件種別ごとに見た場合、最寄り駅からの徒歩分数が最も短いのは新築マンション、次いで中古マンションで、マンションは最寄り駅から近い物件が好まれる傾向が見て取れます。
過去3年の調査結果と比べると、新築マンションは2021年度が平均6.9分(中央値5分)、2022年度が平均9.7分(中央値8分)、2023年度が平均8.1分(中央値8分)。中古マンションは2021年度が平均10分(中央値8分)、2022年度が平均13.8分(中央値10分)、2023年度が平均12.1分(中央値7分)と、いずれも2022年度は増加傾向にあった最寄り駅までの徒歩分数が、やや戻りつつあります。
まとめ
コロナ禍の暮らしを経て以前に生活に戻りつつあるなかで、働き方が変わった人も、もとに戻った人もいるでしょう。今後のワークスタイルがある程度見えてきた今、住宅購入時に最寄り駅までの徒歩分数をどの程度なら許容できるのか、改めて考えてみてはいかがでしょうか。
【調査概要】
調査エリア:全国47都道府県
調査対象者:住宅購入経験者(直近1年以内)・検討者(直近3年以内)の25~69歳の男女
調査期間:2023年3月3日~3月8日
有効回答数:600サンプル
調査手法:クロス・マーケティングモニターへのインターネット定量調査
調査機関:株式会社クロス・マーケティング