ぶっちゃけ全て開業してほしい!

計画されたものの実現しなかった路線


京王井の頭線(画像:京王)。

 不動産・住宅情報サービスなどを展開するLIFULLは2023年7月25日(火)、アンケートの実施結果により、「実現してほしかった未成線ランキング(関東編)」を発表しました。

 これは、かつて計画されたものの、実際に着工や開業に至らなかった「幻の鉄道路線」から選ばれたもの。一都三県の老若男女計1100人から回答を得てランキングが作成されました。

 このランキングによると、トップは「羽田・成田リニア新線構想」でした。2009年に神奈川県が基礎調査を行った構想で、羽田空港と成田空港を300km/h、所要時間15分で結ぶというものです。調査ではさらに、横浜駅、新宿、さいたま市、横田飛行場へも結ぶという壮大なものになっていました。

 3位にも東京駅と直結する「成田新幹線」がランクイン。意見では「成田空港が使いやすくなる」などの声が上がっています。現在は「成田スカイアクセス線」として別の形で実現していますが、建設スペースは今も残されています。

幻の「第二山手線」「東急国分寺線」にあの「一周路線」も…?

 このリニア新線に迫る得票があったのが、幻の環状鉄道「東京山手急行電鉄」です。大井町〜明大前〜中野〜板橋〜南千住〜亀戸と、都心郊外をぐるっと回り、放射状の各種鉄道路線をつなぐ役割を果たします。大正時代の計画で、”第二の山手線”ともなる存在でしたが、結局実現せず。京王井の頭線の明大前駅付近に、計画の名残が「謎のスペース」として残されています。

 4位は「三浦半島循環線」で、京急の前身会社「湘南電気鉄道」が三浦海岸から三崎港を経て葉山、鎌倉へ到達するべく免許を取得。今の京急が、中途半端な三崎口駅で終わっているため、意見でも「車でしか回れず、バスも渋滞で遅れるので、電車がほしい」などといった声が挙げられています。

 極めつけは5位の「東急国分寺線」です。池上線の雪が谷大塚駅からまっすぐ北西へ伸ばし、二子玉川・調布を経由して国分寺駅までをむすぶものでした。実現すれば東京山手急行電鉄のように、放射路線どうしをつなぐ「縦の糸」となる存在。ともかく縦軸が不便な東京にあって、今も熱望する声が上がっています。

 蒲田〜雪が谷大塚〜五反田をむすぶ東急池上線は、かつて東急とは別会社の「池上電気鉄道」でした。しかし現在の東急多摩川線、目黒線、東横線など東急による「包囲網」が形成されていきます。

 焦った池上電気鉄道が起死回生の策としたのがこの国分寺線で、どこまで本気だったのかは不明ですが、とりあえず1928(昭和3)年に「新奥沢線」として1.5kmほどを開業させます。が、6年後には東急系会社に吸収合併。その後あっけなく廃止されてしまいました。

 LIFULLのアンケートでは、このあと12位までの「実現してほしかった未成線」が挙げられています。今回の結果について、登録者数11万人を超える鉄道系YouTuber「ひろき」さんは「1位は個人的に成田新幹線」だと予想していたので、意外な結果でした」と驚きの様子。「先人たちの意思決定の積み重ねによって、今の鉄道や街が形成されているということを実感し、当たり前の景色・日常をとても尊く感じました」と話しています。