「東武池袋駅」大改造へ 線路増設で「TJライナー増発」も可能? 別の駅と見紛うほど開放的に
池袋駅西口再開発で、東武池袋駅が生まれ変わります。線路の増設も検討されていますが、どのような効果が見込めるのでしょうか。
池袋駅西口再開発で東武池袋駅も全面改良へ
東武東上線のホームや東武百貨店などがある池袋駅西口が、再開発で大変貌しそうです。その一環として実施される駅の改良計画に関しては、東武鉄道が事業内容の一部を公表しています。2023年度中の都市計画提案に向け、検討が大詰めを迎えているようです。
東武東上線「TJライナー」の車両(画像:写真AC)。
池袋駅西口再開発は、三菱地所や東武鉄道などが参画する市街地再開発準備組合が事業主体となる地区(約4.6ヘクタール)と、東武鉄道の単独事業地区(約1.5ヘクタール)を合わせた約6.1ヘクタールが対象です。東武鉄道の単独事業地区は、主に駅などの鉄道敷地となります。
この地区では、2009年に地権者と豊島区で構成する「池袋駅西口地区まちづくり協議会」が発足し、再開発の検討を開始。その後、まちづくり協議会が市街地再開発準備組合に発展解消し、開発内容の検討が進められてきました。
現在は都市計画提案に向けた各種調整が最終段階に入っており、遠くない時期に全体の開発内容が明らかになるとみられます。今後は、2024年度の都市計画決定を経て、2027年度の着工を予定。事業費は1500〜2000億円を見込んでいるといいます。
再開発の詳細はまだ明らかになっていないものの、東武鉄道は2023年5月に公表した決算説明資料で計画の一部を明らかにしています。イメージ図をみると、天井の低い空間が多い東武池袋駅が、もはや「別の駅」と見紛うほど開放的に生まれ変わっています。
再開発の方針には、「東武グループの一大拠点として、沿線のシンボルとなる施設・用途計画の推進」「世界から人々を呼び込むグローバルブランドホテルの誘致」「駅まち空間や東上線上空デッキなどの都市基盤整備」などが盛り込まれています。
東武鉄道は駅の改良計画について「現在の3線から4線への線路増設、ホームの狭隘箇所の改善などを検討しています」としたうえで、「具体的な内容は決定していませんが、線路数の増加により列車の増発が可能となるため、現在運行している有料着席列車『TJライナー』や、沿線地域の催しなどに合わせた臨時列車などの設定が想定されます」(広報部)と話します。
東武鉄道が公開している改良後の池袋駅のイメージを見ると、 駅の天井まで伸びる「フルスクリーン式」のホームドアが設置されています。東上線上空デッキは、新たに整備されるアトリウム空間から、駅北側で線路をまたいでいる池袋大橋までを南北方向に結ぶ約350mの歩行者デッキとなるようです。
東武池袋駅の改良に関しては、東武鉄道が2017年度に公表した中期経営計画に盛り込んでいましたが、ようやく具体化することになりそうです。ただ、東武鉄道は「単独事業エリアは主に鉄道の直上にあることなどから、事業期間は15〜20年度程度を要する」としており、長期間工事が続く見込みです。