初来日! フランス戦闘機「ラファール」このあと航空自衛隊と共同訓練へ 関東にも来る!?
宮崎県の新田原基地にフランス航空宇宙軍の「ラファール」戦闘機が飛来しました。来日はわずか4日間ではあるものの、フランスの戦闘機が日本の地に降り立つのは初めてのケースです。
グアム島から飛来 同時期に韓国にも
2023年7月26日(水)17時すぎ、宮崎県にある航空自衛隊新田原基地にフランス空軍(正式名称フランス航空宇宙軍)の主力戦闘機である「ラファール」2機が飛来しました。同国の戦闘機が日本にやってくるのはこれが初めてのことであり、珍しいフランス製戦闘機の来日は外交・安全保障上の観点からだけでなく、多くのミリタリーファンや航空機ファンも注目する出来事となりました。
初来日の「ラファール」は何のためにやってきたのでしょうか。それは航空自衛隊との共同訓練を行うためです。航空自衛隊は7月26日から29日の期間で、この新田原基地を起点にフランス空軍との「日仏共同訓練」を実施します。
宮崎県の新田原基地に降り立ったフランス航空宇宙軍の「ラファール」戦闘機。駐機場での誘導はフランス空軍の隊員のアシストしながら空自隊員が行った(布留川 司撮影)。
飛来した航空機は、フランスの国産戦闘機ダッソー「ラファール」2機とエアバスA400M輸送機1機で、これらに乗ってフランス軍将兵120名が来日しています。なお、当初予定されていたA330MRTT空中給油・輸送機は後日来日に変更されています。
新田原基地へはまず、支援機材と人員を搭載したA400M輸送機が30分ほど前の16時半過ぎに先行して着陸し、そのあと2機の「ラファール」戦闘機が到着。滑走路からエプロンへとタキシングする途中で、消防車2台の放水による歓迎を受けたのち、フランス空軍と航空自衛隊の関係者それぞれが参加した歓迎セレモニーが行われました。
新田原基地に降り立った軍用機と将兵は、フランス本国から派遣されていますが、任務は訪日だけではありません。
フランス空軍は、2023年6月25日より「ペガース23」というアジア太平洋地域への派遣作戦を行っており、これには10機の「ラファール」戦闘機、5機のA330MRTT空中給油・輸送機、4機のA400M輸送機と320名の将兵が参加しています。
航空自衛隊も記念塗装機を用意して歓迎
派遣部隊と航空機は、まず中継地点のアラブ首長国連邦に着陸したのち、部隊を分けてマレーシアやシンガポールなどへ展開しました。なかでも、アメリカ領グアム島に派遣された部隊は、そのまま同地でアメリカ空軍が主催する「ノーザン・エッジ」演習に参加。しばらく同島を基点に、周辺地域で実施されている「タリスマン・セイバー」や「モビリティ・ガーディアン」といったほかの多国間演習にも参加し、フランス空軍としてのプレゼンスをアピールしてきました。
これら演習が終わったことで、「ペガース23」に参加した航空機と部隊は、個別に分かれて帰国する道中でさまざまな国を訪問しています。
宮崎県の新田原基地に降り立ったフランス航空宇宙軍の「ラファール」戦闘機(布留川 司撮影)。
フランス空軍が公式ウェブサイトなどに投稿した内容を参照すると、7月23日にフランス領ニューカレドニアの首都ヌメアに、「ラファール」2機とA330MRTT空中給油・輸送機、A400M輸送機が着陸しているほか、翌24日には4機の「ラファール」と2機のA330MRTT、2機のA400Mが韓国とインドネシアの共同演習に参加したと明記されていました。
「ペガース23」は、軍事的にはアジア太平洋地域で開催される国際演習への参加と、フランス空軍の長距離展開能力を実証するために行われたようですが、同時にアジア太平洋地域のさまざまな国々に立ち寄ることで、国際交流と安全保障上のパートナーシップを作ることも目指している模様です。
今回の飛来もその一環であり、戦闘機の派遣以外にも、これに合わせてフランス航空宇宙軍参謀長のステファン・ミル大将が来日、今回の出迎えに参加しただけでなく、後日、共同記者会見も行う予定です。
航空自衛隊では今回のフランス空軍来日を「日仏共同訓練」と呼んでいますが、これには新田原基地のF-15戦闘機3機や、築城基地のF-2戦闘機2機、小牧基地のKC-767空中給油・輸送機1機、入間基地のC-2輸送機1機が参加し、新田原基地を拠点に各種戦術訓練を実施するとしています。また一部の機体は首都圏にも足を延ばし、関東周辺空域で訓練を行います。
また、新田原基地所属のF-15戦闘機2機が、今回の演習を記念し特別塗装をまとって準備してありました。機体の垂直尾翼などにはステッカーシールによる日仏両国の国旗を模したスペシャルマーキングが施されていたのが印象的でした。これら機体はラファールが日本に飛来したときに、空中で日本側の出迎えとしてランデブーを行ったそうです。