高さ約200mの風車14基を年内に全部立てちゃうんだとか。

船体をジャッキアップさせれば高波も関係なし

 国土交通省 北海道開発局は2023年7月21日(金)、公式ツイッターで世界最大級の自航式SEP船(自己昇降式作業台船)「BLUE WIND」による洋上での風車据え付け作業の様子を公開しました。

 この作業は、2023年7月現在、石狩湾新港の沖合で進められている日本最大級となる洋上風力発電プロジェクトの工事に関するもので、計画では高さ196mの風車を14基建設する予定です。


石狩湾新港の沖合で風車据え付け作業中の自航式SEP船「BLUE WIND」(画像:国土交通省北海道開発局)。

 工事に用いられているSEP船「BLUE WIND」は、洋上風力発電の需要拡大と大型化に備え、清水建設が造船大手のジャパンマリンユナイテッド(JMU)に発注し建造した特殊船で、船体サイズは全長142m、全幅50m、総トン数は2万8000総トンあるとのこと。搭載するクレーンの最大揚重能力(吊り上げ能力)は2500t、最高揚重高さは158mで、作業時には4本の脚を海底に着床させ、船体をジャッキアップさせ海面から切り離すことで、海が荒れて波が高い時でも安定した姿勢で工事ができるようになっています。
 
 水深10mから65mの海域における作業に対応しており、DPS(位置保持システム)も搭載しているため、同じ位置に留まったまま、設置工事の準備に取り掛かれるそう。また、8MW(メガワット)風車なら7基、12MW風車なら3基分の部材すべてを一度に搭載できるため、予備日をみても8MW風車の場合は7基を10日、12MWの場合は3基を5日で据え付け可能だといいます。

 加えて同船は推進システムとしてスラスターを6基備えているため、拠点港と作業海域を自力で往復できます。そのため非自航式のSEP船と違い、曳航を行うタグボートを必要としないのも特徴のひとつです。

 なお、清水建設によると、石狩湾新港の洋上風力発電施設は2023年12月より商用運転開始を予定しているとのことです。