熊本の第5地対艦ミサイル連隊と静岡の特科教導隊などが参加。

無人偵察機スキャンイーグルで情報収集

 オーストラリア国防省は2023年7月22日、オーストラリア東海岸沖で陸上自衛隊の12式地対艦誘導弾の実弾射撃を実施したと発表しました。

 オーストラリアでは現在、米豪主催の多国間共同訓練「タリスマン・セイバー2023」が開催されています。8月4日まで行われるこの訓練にはアメリカ、オーストラリアのほかに日本、カナダ、イギリス、ドイツ、フランス、韓国、インドネシア、ニュージランド、フィジー、パプアニューギニア、トンガの計13か国3万人あまりの上の兵士が参加ており、オーストラリア北部を中心にさまざまな演習が実施されています。


オーストラリアに派遣された第5地対艦ミサイル連隊の12式地対艦誘導弾の発射装置(画像:オーストラリア陸軍)。

 12式地対艦誘導弾は、ニューサウスウェールズ州ビークロフト射撃場に展開。そこから同州南東部の端にあるジャービス湾(ジャービスベイ特別地域)に浮かべられた無人標的に向けて発射されたといいます。

 陸上自衛隊がオーストラリアで地対艦誘導弾の実射訓練を行うのは初めてのことです。なお、事前の発表によると、訓練は無人偵察機「スキャンイーグル」(SE2)で目標に関する情報を収集したのち、外国軍との共同対艦戦闘という形で行うとされていました。

 今回の実射訓練に関して、陸上自衛隊のトップである森下泰臣幕僚長は「タリスマン・セイバー演習は、オーストラリアおよびアメリカとの協力関係を強化し、自由で開かれたインド太平洋の維持と強化に役立つものとして、重要視しています」「地対艦誘導弾の射撃演習は、オーストラリア海軍と連携することで、日豪両国の信頼関係をより一層高めると信じています」と述べています。

 陸上自衛隊は、今回の12式地対艦誘導弾だけでなく「タリスマン・セイバー2023」演習において、アメリカ以外で初となる03式中距離地対空誘導弾の実射も行う予定だそうです。