開発中のボーイング大型旅客機「777X」の機内へ潜入! 試験機ならではの珍内装に肉薄 とにかく広い!
開発が進められているボーイングの新型機「777X」。この試験機の機内を見ることができました。一般的な旅客型、貨物型などとは全く違う内装を持っています。
2020年1月に初飛行した初号機
ボーイングは2023年現在、次世代の大型旅客機「777X」の開発を進めています。2025年の納入を目指し、試験機が数機存在しますが、このなかで、2020年1月に初飛行した初号機の機内へ、今回入ることができました。
機内が公開された777X「N779XW」(島田 駿撮影)。
機内が公開された777X初号機「N779XW」 は、2023年6月に行われたパリ航空ショーで展示され、会場の端に置かれていました。同ショーでは、この機の展示飛行も実施されています。
777Xは、ボーイング747やエアバスA380といった “巨人機”の後継のひとつ。それら消えつつある巨人機のように2階建ての客室ではありませんが、遠くからでも目立ち、直径が3.25mという大きなGE9Xエンジンも目を引きます。それらも合わせて、機内へ入った際に真っ先に感じたのは、ただ“広い”、でした。
旅客機内は旅客用や貨物機用、ビジネスジェット用でそれぞれ必要な内装が施されますが、試験機の機内はそれらとは全く異なる内装をもちます。いうなれば、一番機内が殺風景、もしくは雑然としているといいかえることもできるでしょう。
機内へ前方のドアから入ると、中央と左右に並んだ黒色のタンクが真っ先に目を引きました。水を入れて機体の重心を調整するとのことでしたが、ほかは試験用一色ともいえる殺風景なもの。旅客機の機内と同じようなインテリアは、試験スタッフ用のエコノミークラスの椅子と一部の壁材のみでした。
いろんなところがフツーと違う「777X」試験機
777Xの初号機の機内には、計測機器を載せるラックが数か所に備え付けられ、配線は束になり、内装の無い壁面はダクトや構造部材がむき出しになっていました。航空会社へ納入後にギャレー(簡易キッチン)が設けられるエリアの床には、誤って入ったりつまづいたりしないように、黄色と黒色のラインで注意がなされ、目立つ色と言えば、このラインと、スタッフ用座席の後ろの置かれた救命いかだの黄色程度。殺風景であるうえに雑然としたイメージでした。
一方、中央に設けられた、スタッフの打ち合わせ用テーブルの上には、ライバル機であるエアバスの大型機「A350」と窓の大きさを比べたと思しきイラストが描かれたボードが置かれていました。更に見ると、スタッフのちょっとしたお遊びでしょうか、日本も含めたビール会社が配ったコースターもありました。
エンジンをのぞき込んでいる人と比べ、巨大さが分かるGE9X(島田 駿撮影)。
ボーイングをはじめエアバスやエンブラエルなどは、こうしたメディア・ツアーを世界各地の主な航空ショーで行っています。その際は、各国の航空会社へアピールするため機内を見せています。
今回もメディア・ツアーの最中に、ボーイングの社員が海外の航空会社の社員とおぼしき人たちを連れて、操縦室を見せていました。殺風景で雑然としつつも広々とした客室を見せて搭乗者数の多さを実感させて、最新の操縦画面で最新鋭機であることを宣伝している様子も分かりました。
殺風景な機内は、旅客機のインテリアに興味のある人はあまり関心を向けないかもしれません。しかし、機械や構造に目が向く人なら、じっくりと観察したい。そんな感想を抱くのではと思いました。