「これが伝説の“羽田カーブ”…」 羽田空港への激レア“アクロバティック着陸”を体験 めっちゃ低い!
羽田空港へ旅客機が着陸進入する方法のなかには、ごく限られた状況でしか実施されず、かつ低空での急旋回をともなうアクロバティックなものが存在します。今回、その着陸進入を、客室から体験することができました。
左手に降りる滑走路が迫るなか旋回
羽田空港へ旅客機が着陸進入する方法のなかには、ごく限られたシチュエーションでしか実施されず、かつ低空での急旋回をともなうアクロバティックなものが存在します。今回、そのレアでスリリングな着陸進入を、ANA(全日空)便の客室から体験することができました。
夜間の羽田空港に駐機するANA機(乗りものニュース編集部撮影)。
この着陸はパイロット間では「VOR-A(ブイオーアール・アルファ)アプローチ」と呼ばれるもので、4本ある同空港の滑走路のうち、第2ターミナルの前にあるC滑走路に北側(16L)から着陸する際にとられる進入経路のひとつです。
この「VOR-A」は23時から翌朝6時までの「深夜時間帯」に南寄りの風が吹いており、しかもD滑走路が定期点検で閉鎖となっている日にしか実施されない進入方式です。
「VOR-A」では、東京湾上空を西に向かって羽田空港に近づいていき、そこから右へ60度ほど旋回。C滑走路と並行しながら北へ向かって飛び、お台場の南側あたりで、一気に180度旋回し、滑走路16Lに正対して着陸します。最終旋回をするときの高度は1000ft(約305m)を切っており、客室左手の窓からは、C滑走路が目前に迫るなか、大きく機体をかたむけて着陸します。
なお、かつての羽田空港では、「VOR-C(ブイオーアール・チャーリー)」アプローチという進入方式で16Lへ着陸する方法がありました。お台場の南側にある埋立地に向かって北西向きで近づき、最後は城南島付近を左旋回しながら16Lに着陸するもので、これは航空ファンのなかで「羽田カーブ」とも呼ばれる名物でした。
この「羽田カーブ」こと「VOR-C」の着陸進入は、D滑走路が供用開始された2010年をもって行われなくなりましたが、着陸数分前の飛行経路は「VOR-A」と極めて近しいものであることから、このごく限られた状況でのみ行われる「VOR-A」の着陸進入は、現代版「羽田カーブ」といえるものとなっています。