たくさんの長い足を持つゲジゲジ。見た目のインパクトが大きく、家の中で見つけるとギョッとする虫です。屋内にはなるべく入れたくないゲジゲジですが、一つ気になるのは「益虫? それとも害虫? 」という点ですよね。

今回はゲジゲジの生態や人間との関係、見つけたときの対処方法などを解説します。

ゲジゲジとはどのような虫か

まずはゲジゲジの生態や生息場所など、基本的な情報から見ていきましょう。

生態・特徴
ゲジゲジはムカデ綱ゲジ目に属する虫で、標準和名は「ゲジ(蚰蜒)」です。体長は20~40mm、くすんだ黄色の体はいくつもの節に分かれています。

15対30本の細長い足で素早く動きまわり、天井や壁を歩くことも可能です。頭部には長い触角と大きな顎をそなえており、小さな虫を捕らえて食べます。また、敵に襲われた際には足を切り離して身代わりにする「自切」を行うことでも知られています。

生息場所・活動時期
ゲジゲジは夜行性です。暗く湿り気のある場所を好み、大きな石や落ち葉の下、草むらや家の床下、洞窟などに生息しています。また、これらはゲジゲジのエサとなる虫が主にいる場所でもあります。

主な活動時期は3月~12月で、特に活動が活発化するのは6月~9月です。初夏から秋にかけて産卵し、卵は2~3週間で孵化します。

ゲジゲジは、孵化直後から成虫のような姿ではありません。幼虫の足は4対8本と少なく、脱皮を繰り返しながら徐々に足や体の節を増やしていきます。孵化後から約2年で成虫になり、約3年で繁殖期、5年前後で寿命を迎えます。

ゲジゲジは益虫? 害虫?

見た目で嫌われることも多いゲジゲジですが、実際には人に害をなすのでしょうか。

ゲジゲジはほかの害虫を食べてくれる益虫
ゲジゲジは見た目がグロテスクなものの、人を刺したり、感染症を媒介したりすることは確認されていません。

人を刺すムカデとよく似ているため警戒されがちですが、ゲジゲジには人に影響を及ぼす毒もありません。素手で触るなどすれば噛まれることもありますが、積極的に人を襲うことはないとされています。

むしろゲジゲジは、ゴキブリやクモ、ダニやシロアリなどほかの害虫をエサとすることから、益虫だとする見方もあります。

そのため家の中にいるゲジゲジを駆除してしまうと、ほかの害虫にとって天敵のいない、住みやすい環境を作り出してしまうことになるでしょう。

見た目が悪いので不快害虫とされる

ゲジゲジは「不快害虫」とされる

基本的には人間に害を及ぼす虫ではないとされるゲジゲジですが、その見た目から「不快害虫」とされています。

不快害虫とは人間に不快感や嫌悪感を抱かせる虫のことです。実害はありませんが、人に心理的な害を与えるため駆除の対象とされます。

ゲジゲジのほかには、ユスリカやガ、カメムシなどが不快害虫です。なお、ゴキブリやハチは病気を媒介したり、毒を持っていたりと実害があるため、衛生害虫と不快害虫どちらにも属しています。

ゲジゲジの駆除方法

ゲジゲジは益虫なので、むやみに駆除する必要はありません。しかし、前述のとおり不快害虫でもあるので、「見た目がどうしてもダメ」という人は駆除をしましょう。

殺虫スプレー
一般的なエアゾールタイプの殺虫剤、いわゆる殺虫スプレーの多くは、ゲジゲジの駆除にも使えます。ゲジゲジを見つけたら、製品の使い方に従ってスプレーを吹きかけて退治しましょう。

ペットや小さなお子さんへの影響が心配な場合は、瞬間冷却タイプのスプレーがおすすめです。殺虫成分を含まず、超低温のスプレーを噴射することで虫を駆除できます。

なお、スプレー式の駆除剤のなかには、窓のサッシや玄関先にスプレーしておくことで、ゲジゲジの侵入を防げるものもあります。

くん煙剤

くん煙剤の使用も有効

ゴキブリ駆除に使用する「バルサン」のようなくん煙剤も、ゲジゲジの駆除には有効です。

「家にいるところは見たものの、見失ってしまった」という場合は、家具の裏などに隠れていることも少なくありません。くん煙剤なら殺虫成分を部屋のすみずみまで行き渡らせられるので、見えない場所にいるゲジゲジも退治できます。

くん煙剤を使用する際は、食器や衣服など直接肌に触れるものや貴金属などを部屋の外に出したり密封したりして、薬剤がかからないようにしましょう。またくん煙から数時間は部屋に入れないので注意が必要です。

誘引殺虫剤
誘引殺虫剤とは、虫が惹かれる成分でおびき寄せるタイプの殺虫剤です。

ゲジゲジを見つけたタイミングで使うスプレータイプや、部屋を密閉して使うくん煙タイプと異なり、置いておくだけで退治ができます。

誘引殺虫剤は、駆除したい虫が好む場所に撒いておくと効果的です。ゲジゲジならば、石や落ち葉の下、家の床下などが適しています。

一般的に誘引殺虫剤は、撒いてから一定時間が経つと効果が落ちてしまいます。ゲジゲジが再度見つかった場合は、製品の説明に従って再び使用しましょう。

ゲジゲジを家に侵入させない方法

ゲジゲジは益虫ではあるものの、できることなら家の中に入れたくない存在ですよね。ゲジゲジを家に侵入させない、寄せ付けないためにはどうすればいいのでしょうか。

ゴキブリなどを発生させない

生ゴミなどをキッチンに放置しておくとゴキブリを招き、ゲジゲジを侵入させることになる

ゲジゲジは基本的に屋外に生息していますが、エサであるゴキブリなどが住宅内に発生すると、獲物を求めて侵入します。

そのため、ゲジゲジを家に入れないためには、ゴキブリなどの害虫が住み着く環境を作らないことが大切です。

たとえばゴキブリは生ごみや流しに放置したままの食器、髪の毛やホコリなど、人の生活から出るものを幅広く食べます。玉ねぎや調味料など、においの強いものも好物です。ゴキブリの繁殖を防ぐためには、家を清潔に保ち、調味料や食材をゴキブリが侵入できない場所で保管する必要があります。

また、ゴキブリやチャタテムシなどの害虫は、ダンボールに卵を産み付けたり、ダンボールや表面に生えているカビを食べたりすることでも知られています。使用後のダンボールは放置せず、すみやかに片づけましょう。

庭の湿気対策を行う
ゲジゲジは、日当たりの悪いジメジメとした場所を好みます。家の庭に雑草が生い茂っていたり、古タイヤや粗大ごみが放置してあったりすると、ゲジゲジにとって居心地のいい環境になってしまうので注意が必要です。

定期的に雑草駆除をして風通しや日当たりのいい環境を作ったり、余計なものを置かずにゲジゲジのすみかになるような場所を減らしたりして、庭の湿気対策を行いましょう。

なお、庭にエアコンの室外機がある場合は、ゲジゲジやゴキブリの侵入経路になることも考えられます。室外機の周囲をきれいに保つ、排水口や排気口にネットを取り付けるなどの対策もおすすめです。

まとめ

ゲジゲジは見た目で嫌われることが多い虫ですが、ゴキブリなどを食べる益虫です。ムカデや毒グモのように刺される心配もないため、見つけたら落ち着いて対処しましょう。

また、ゲジゲジを家の中に侵入させないように、あらかじめ対策をしておくことが重要です。家をきれいに保つなどの基本的な対策に加え、誘引殺虫剤などの薬剤を適切に使うことで、ゲジゲジを目にする機会はかなり減らせるでしょう。