錠剤、粉薬、シロップ…「薬」を保管するときの注意点は? 使用期限はある? 薬剤師が解説
市販薬や処方薬には、錠剤や粉薬、シロップなどさまざまなタイプの薬があります。薬は常温で保管するのが一般的ですが、中には冷蔵保存の方が望ましい製品もあり、薬によって取り扱い方が異なります。
薬を保管するときは、どのようなことに注意する必要があるのでしょうか。使用期限はあるのでしょうか。医療法人永仁会 入間ハート病院(埼玉県入間市)薬剤部の担当者に聞きました。
冷蔵保存で結露が生じる可能性も
Q.そもそも、市販薬や処方薬はどのように保管をすべきなのでしょうか。
担当者「原則として、薬を保管する際は、直射日光が当たる場所や高温多湿な場所を避けてください。また、市販薬は説明書と一緒に箱に入れた状態で、処方薬は説明書と一緒に薬袋に入れた状態でそれぞれ保管し、薬以外の物と混ぜないように注意しましょう」
Q.市販薬や処方薬を保管する際の適切な温度について、教えてください。冷蔵庫で保管しても問題ないのでしょうか。
担当者「医薬品の規格を定めた公定書では、室温は1〜30度、常温は15〜25度、冷所は1〜15度とそれぞれ定義されています。まずは保管場所が指定されていないか、説明書で確認してください。例えば、『冷所保存』と書かれている薬の場合、冷蔵庫で保管すると15度以下を保てます。冷蔵庫のドアポケットで保管をするのがよいと思います。
錠剤やカプセル剤など、ほとんどの薬は室温での保管が望ましいとされていますが、冷蔵庫で保管する場合、密封できる袋や容器に入れた上で、他の物と分けて保管していただければ問題はないでしょう。ただし、保管場所によっては凍結することがあるほか、出し入れの際の温度差によって結露が生じる可能性も考えられるので、注意してください」
Q.薬を正しい方法で保管しなかった場合、どのようなデメリットが生じる可能性があるのでしょうか。
担当者「正しく保管しなかった場合、薬が変質するため、効果が十分に発揮されないことがあります」
Q.市販薬や処方薬は開封後、何カ月以内に使い切らなければならないのでしょうか。
担当者「市販薬の中には、『開封後1カ月』を期限としている薬がありますが、一般的な目安としては、錠剤やカプセル剤のほか、メーカー個装品の散剤(粉薬)・顆粒(かりゅう)剤は6カ月から1年、薬局で分包した散剤・顆粒剤は3カ月といわれています。
シロップ剤などの水剤は細菌などが繁殖しやすくなるため、薬袋に書かれている『○日分』という処方日数を基準に、当該の薬がなくなる予定日を期限にするとよいと思います。
あくまで一般的な目安であり、『変色や固まり、濁りが生じた』『薬のにおいが変わった』『容器が破損した』などの場合は、速やかに廃棄してください」