アメリカザリガニ&ミドリガメ放出したら…3年以下の懲役、300万円以下の罰金 弁護士が解説
6月1日から、「アメリカザリガニ」と「アカミミガメ(ミドリガメ)」が特定外来生物に指定され、環境省が規制をスタートしました。飼育していたアメリカザリガニやアカミミガメを野外に放出したりすると3年以下の懲役、300万円以下の罰金が科せられる、この規制について芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士が解説してくれました。
規制に至った、背景は…
同規制について、牧野さんは「アカミミガメとアメリカザリガニは、令和4(2022)年5月に成立・施行された『特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の一部を改正する法律』の一部の規制を適用除外とする『条件付特定外来生物(通称)』」に指定されたと説明します。
さらに、背景について「アメリカザリガニは日本全国に広く定着し、水生植物を消失させたり、水生昆虫の局所的な絶滅を引き起こしています。また、ザリガニペストや白斑病などを保菌し、ニホンザリガニを含む在来甲殻類に大きな影響を与える可能性があります」と説明してくれました。
その一方で「アカミミガメ・アメリカザリガニともに飼育者がとても多い生きものであり、単に特定外来生物に指定して飼育などを禁止すると、手続きが面倒などの理由で野外へ放す飼育者が増えると予想され、かえって生態系などへの被害を生じる恐れがあります」といい、「そのため、一部の規制を適用除外とする『条件付特定外来生物(通称)』に指定することとなりました」と経緯も付け加えてくれました。
セーフorアウト 5つのポイント
規制開始後、違法になる、ならないのポイントについては、以下の通りです。
(1)捕獲
捕獲は違法になりません。一般家庭でペットとして飼育しているアカミミガメ・アメリカザリガニはこれまで通り飼うことができます。申請や許可、届け出などの手続きは不要です。
(2)飼育
一般家庭でペットとして飼育しているアカミミガメ・アメリカザリガニはこれまで通り飼うことができます。申請や許可、届け出などの手続きは不要です。
(3)無償譲渡
飼い続けることができなくなった場合は、友人・知人・個体の新しい飼い主探しをしている団体などに譲渡してください。この場合も、無償(譲り渡す側が引き取り料などを払って引き取ってもらう場合も含む)であれば申請や許可、届け出などの手続きは不要ですが、責任をもって飼うことのできる相手を探してください。ただし、無償であっても、頒布にあたる行為は規制されます。
(4)放出
アカミミガメ・アメリカザリガニを川や池などの野外に放したり、逃がしたりすると違反になります。違反すると罰則・罰金の対象になります。適切な飼育を行わずに、アカミミガメ・アメリカザリガニが自力で逃げ出した場合も違法となることがありますので注意が必要です。逃げ出さないように容器で適切に飼育する必要があります。
(5)販売・頒布・購入
一般家庭などでの「飼養等」(飼養、栽培、保管、運搬を指します)や無償での「譲渡し等」(譲り渡し、譲り受け、引き渡し、引き受けを指します)については許可なしで行うことができます。ただし、仕事として飼養などする場合は「飼養等基準」を順守する必要があります。一方で、販売・頒布を目的とした「飼養等」、販売・頒布・購入、輸入、野外への放出などについては原則として通常の特定外来生物と同様の規制がかかります。
※頒布とは、有償・無償を問わず、不特定多数または特定多数の者に配り分けるような行為を想定。
終生飼育を心掛ける
アカミミガメ・アメリカザリガニを捕獲するなどし、飼育する際は責任を持って終生飼育することを心掛けましょう。また、野外で捕まえたものを安易に持ち帰らないようにし、飼う前に、飼育する年数や環境を考えることも大切です。
アカミミガメ・アメリカザリガニに関しての規制はスタートしますが、環境や在来種などを守るためにも、それ以外の生き物などをむやみに放出するのはやめましょう。さまざまな動植物、昆虫らと共存するための方法や思いやりを考えるようにすることも重要です。