54歳の漫画家・古泉智浩さん。古泉さん夫婦と母(おばあちゃん)、里子から養子縁組した小3の長男・うーちゃん、同じく里子から養子になった5歳の長女・ぽん子ちゃんという家族5人で暮らしています。今回は、大好きな野球チームを退団したうーちゃんが、新たな野球チームを探すお話です。

ゆるい野球チームを探して<古泉智浩の養子縁組やってみた110>

親の負担が大きく、大好きな野球チームを退団することになった小3のうーちゃん。

市内の少年野球チームを一覧できるサイトを見ていると、市内にはたくさんのチームがありますが、募集をネットに載せていないチームが大半でした。募集を載せていて、「よその小学校の生徒でも大歓迎」とうたっているチームも少しあります。その中でお当番について書いているところを絞ります。とくに「お茶くみ」があるところはママさんにも役割があると思われます。CチームとDチームがよさそうでした。

Cチームは隣町の小学校のチームで、募集に「うちはゆるいです。当番は1〜2か月に1回くらいです」と明記されています。しかも活動は週末の午前か午後どちらかです。それなら当番があってもできなくはないです。早速体験に申し込みました。

 

●「うちはゆるいですよ〜」という野球チームを発見!

様子を詳しく調査するために、集合時間の30分前に行ってみました。すると、子どもが2人と大人1人だけ! 30分前なら、うーちゃんが所属していた地元チームだと半分くらいはもう集まっているのに!

少しすると子どもが自転車で現れました。子どもだけで来ている! 大人が送迎していないのです。グランド整備も練習前に子どもと大人がちょっとだけトンボをかけるだけです。テント張りや椅子並べもない。

その上、集合時間のあとになってからもだらだら人が集まってきて本当にゆるい。すばらしいチームだと確信しました。監督が言いました。
「うちはゆるいですよ〜」

ありがたいです。
子どもは20人くらいで、大人は8人くらいでした。練習は上級生と下級生に分かれて行われていました。僕は、地元チームではとうとう最後までグローブをはめて練習に参加することはなかったのですが、今回は調査も兼ねてグローブをして球拾いなどに参加しました。

練習は午前中だけで、元いた地元チームよりは短いですがその分しっかりやっていました。うーちゃんは地元チームで鍛えられていたお陰で口々に「うまいうまい」と褒められました。お世辞を真に受けるのもどうかと思いますが、ひいき目に見て上手に見えるし、そう言ってもらえてうれしい限り!

しかし僕にとって野球の練習はやたらと時間の経過が遅く、苦しいものでした。
お茶くみもなく、ママさんはお迎えを早めに来て見守っているだけでした。あとで、監督に話を聞くと、その日は土曜日だから大人の集まりが悪いとのことでした。なんなら人の少ないという土曜日を主に手伝わせてもらえればいいかなと思いました。

ただ、問題があって、そのチームはよその小学校からも募集はしているものの、実際受け入れたことがないそうです。ただ1人別の小学校の生徒として在籍するのは厳しいかなと思いました。あと2人くらい別の小学校の生徒がいてくれたらいいなと思いました。

●なにか事情でもあるの?好条件すぎるチーム

Dチームはうちから少し遠い市街地にある都市部の小学校のチームです。募集では、「親は送迎のみで大丈夫です」と強く打ち出しています。なにか事情でもあるのかと勘ぐりたくなるほどありがたい条件です。

体験には、用事があって5分遅刻で午後からの練習に出席しました。すでに子どもたちが列をつくって小学校のグラウンドをランニングしていました。グランドにはテントとテーブルと椅子があって、少し不安になりましたが、子ども18人に対して大人はたったの6人です。しかもユニフォームを着ている大人が1人だけ! ほかの人はジャージ姿で、チーム帽すらかぶっておらず、帽子なしの人もいました。半ズボンの人もいます。風通しがすごい。

そうして開口いちばん、担当の方が言いました。
「お父さん、用事があったらお子さんおいて行っていいですよ」

衝撃的な一言でした。うれしい! しかし、様子はしっかり調査する必要があります。椅子に座らせていただいて、練習を見学しました。新6年生がいないチームだそうで、1年生もいました。3・4年生が多い若いチームでした。女の子も3人います。途中から球拾いで参加しました。

練習は全体で行われます。この日は監督が不在でしたが、コーチは関東にある甲子園常連校の出身で、その強豪校の練習が取り入れられているかもしれません。きびしいダッシュが何本もあるなど、きついメニューがありました。また、試合形式の練習では大人がピッチャーで割と本気の球を投げていて、1人しかヒットを打てていませんでした。

数年前にはメンバーが6人にまで減ってしまい、隣接する地域との合同チームとして試合をしていたそうです。そうした存続の危機が生じたため親の負担を軽減する措置がとられたのかもしれません。また、都市部で転勤族が多いそうで、そのため歴史や伝統にしばられることなく運営されているのかもしれません。僕らのような根性なしの夫婦にはありがたいことこの上ありません。チームの小学校以外からのメンバーもいます。

「うまいですね。球を怖がらないし、とくに腕の振り方がいい」
ここでもうーちゃんはとても褒めていただいて、強く入会を求めていただけました。うれしい。

テントや椅子などの片づけやグランド整備はお迎えに来た大人と子どもたちでパパっとやってまったく負担でなかったです。

 

●うーちゃんの新しい野球チーム探し、うまくいきそうです!

こうしてA教室、B教室、Cチーム、Dチームの体験をひととおり受けてみると、どこも少しずつ練習内容が違っていて、どれも理にかなっています。元いた地元チームも本当に丁寧に教えてくださっていました。
先日、お借りしていた背番号とヘルメットを返しに伺うと、いつでも戻って来てほしいと温かい言葉をかけてくださいました。迷惑をかけて本当に申し訳ない気持ちです。

教室も技術指導がすごく丁寧で雰囲気もよかったけれど、チームは公式試合があって練習日が多くて時間も長く、体力づくりにもなり、団体行動が身について友達もできます。
Cチームはうちから近いしすばらしいゆるさだったのですが、他校の生徒が1人だけなのは疎外感が生じる可能性があります。また、連絡などで面倒をかけるかもしれません。

条件はDチームがすばらしくて、Dチームに所属させていただけたらいいなと思っているところです。うーちゃんを受け入れていただけて、本人もなじんでくれればうれしいです。はやく同じユニフォームを着ている姿が見たいです。