YouTubeチャンネル「Earthおばあちゃんねる」で人気の多良美智子さん、88歳。団地でのひとり暮らしを楽しむ姿に魅了されているファンも多くいます。習い事のため外出することも多いという多良さんは、普段どのようなお弁当をつくっているのでしょうか。普段の料理に関することをつづった『88歳ひとり暮らしの元気をつくる台所』(すばる舎刊)から、抜粋で紹介します。

時々持っていくお弁当の楽しみ

高齢者コミュニティの習い事に、昼をまたいで参加するとき、お弁当を持っていくことがあります。いつも同じ、甘い炒り卵をのせたのり弁です。卵2個を小さめの鍋に入れ、砂糖としょうゆを加えて火にかけ、菜箸(さいばし)で大きめに混ぜて炒り卵にします。

【写真】炒り卵をのせたのり弁完成品

お弁当箱にご飯を半分くらい入れ、ちぎってしょうゆにつけたのりをのせ、さらにご飯を入れます。

最後に炒り卵をのせたら、でき上がり。ご飯にしょうゆがしみ、甘い炒り卵と一緒に食べるとおいしいです。

彩りに、ゆでたほうれん草や梅干しのちぎったものをプラスすることもあります。最近、冷凍食品のブロッコリーを凍ったまま入れたら、お昼頃にちょうど解凍されていて便利だなと思いました。

●夫とのお弁当の思い出

のり弁は、亡くなった夫も大好きでした。

夫は80代になると、家にいることが多くなりました。私が昼にいないときは「近くのスーパーでお弁当を買うよ」と言ってくれていましたが、あるとき、買い物に行く途中で転んで、頭をケガしたのです。

「外出は危ないな。お弁当をつくっておこう」と思い、それからのり弁をつくり始めました。

夫の現役時代は、毎日おかずを変えてお弁当をつくっていましたが、このときはこれを定番に。夫も「これがいちばん。毎日でもいいね」と言ってくれました。

もともと体力があり、運動神経抜群の夫でしたが、その後も転ぶことが増え、車の運転も蛇行するようになりました。病院で検査をしたら要介護1に。夫を置いて外出するのが難しくなり、お弁当はつくらなくなりました。

そのうち、夫はデイサービスに週2回ほど通うようになりました。最初は文句を言っていましたが、負けず嫌いの性格のせいか「輪投げで1位になった」「習字が貼り出された」とうれしそうに報告してくれるので、私も少しホッとしました。

●ずっと使い続けている曲げわっぱ

お弁当箱は、大中小7個の丸型の曲げわっぱがセットになったものです。用途に応じて、本体とフタを組み合わせることができます。

お友達が出品している、吊るしびなの展示会に行ったとき、たまたま売店でこの曲げわっぱが売られていました。「わあ、すてき」とピンときましたが、値段は3万円ほどもする高価なもの。一緒に行ったお友達に相談したら、「よい買い物だと思う」と背中を押してくれ、思いきって購入しました。

あれから10年以上たちますが、夫のお弁当、私のお弁当、ときにはお菓子を入れたりと、いろいろ使っているので、高い買い物ではなかったですね。器と同様、高くても安くてもピンときたものは長く使っています。

お弁当袋と箸入れ袋は自家製です。すてきな端切れをお友達からいただいたので、なにかに活かせないかなと思っていたのです。ミシンは使わないので、手縫いです。

 

多良美智子さんの新刊『88歳ひとり暮らしの元気をつくる台所』(すばる舎刊)にはひとり暮らしを楽しむ工夫が満載です。