増え続ける空き家を安く購入してリフォームするという、マイホーム購入の方法が注目を浴びています。日刊住まいライターは、築45年の空き家をスケルトンリフォーム。建て替える半分ほどの金額で、新築同様の性能とインテリアが実現し、快適な暮らしを手に入れました。空き家の欠点をどう解決したか、さっそく詳細をレポートします。

空き家リフォームなら、新築の半分程度の費用で理想の家に

筆者は、夫と2歳の娘の3人家族。昨年、39坪の空き家をリフォームしました。

もともとは筆者の祖父母が住んでいた築45年の家。祖母が亡くなり遺品整理がひと段落した昨年、譲り受けたのです。じつは筆者も小学生まで住んでいた家です。

築45年ですが家屋の状態はよく、つぶして建て直すのはもったいないようにも感じていました。しかし、リフォームしただけで快適に住み続けられるのか不安も…。

ハウスメーカーや工務店で話を聞くと、リフォームでも耐震補強や、家の性能を十分アップできるとのこと。それだけでなく、更地にして建て替える費用の半分程度で、スケルトンリフォーム(床、壁、天井をすべて取り払って、躯体のみの状態にして、間取りからつくり直すリフォーム)ができることもわかりました。

それなら、スケルトンリフォームして、自分たちに合った暮らしができる家にしよう、ということになったのです。

 

改善したい!空き家にありがちな3つのマイナスポイント

最大のマイナスポイントは、まずはなにより、寒くて暑いこと。古い家なので断熱性がないのはもちろん、窓のサッシもひずんですき間風が入ってきます。これでは冷暖房の効きも悪いので、至急改善が必要です。

次に、家の中が全体的に暗い点をなんとかしたいと考えていました。南玄関なのになぜか玄関が暗い…。また、居住者がメインで滞在する居間やキッチン、寝室が北側にあり、訪問者用の客間や広間が南側に位置する、というなんとも昔ながらの間取り。この2点は要改善ポイントです。

最後に、収納のバリエーションが少ないことも気になりました。和室しかないので押入れ収納ばかり。ハンガーラックもないと不便だと感じ、増やすことにしました。

では、スケルトンリフォームでどう改善したか、詳細をレポートします。

 

寒くて暑い!断熱工事とサッシの交換で解決

H28年省エネ基準のグラスウール断熱材を使用した断熱工事で、屋内はかなり快適に。それに加えて、窓の大きさを見直すことに。

リフォーム前の家は、とにかく掃き出し窓が多かったうえ、風呂や洗面所も明るくするためか、大きめの引き違い窓でした。もちろん、どれも昔懐かしい1枚ガラス。

断熱性能を上げるためにも、掃き出し窓の数を減らし、風呂、脱衣所、トイレの窓は換気として必要最低限の大きさの下開き窓に変更。また、西日が入る窓は遮熱仕様のサッシを採用しています。

家全体が暗い!床材や玄関ガラスを変更し解決

こちらはリフォーム後の玄関です。晴れた昼間は、やわらかい光が入り込む、すてきな玄関に大変身。

また、LDKを客間があった南側に移動させ、床材をチェリー系の明るい色にした結果、リビングを中心に、家の中が全体に明るい雰囲気に。

 

大工工事で欲しい場所に収納!部屋がすっきり

3つ目の「和室しかないので、収納が押入れのみ」という欠点は、大工工事で解決しました。

玄関横にアウター用のハンガーラックとカバン用の可動棚収納、寝室には押入れを活用してハンガーラックを採用。キッチンにはパントリー(写真上)、リビングには本棚として可動棚をつくるなど、いたるところに収納を設置しました。

おかげで、自分で収納向けの置き家具を用意しなくてよいので部屋もすっきり広く使えます。

 

取れない柱にニッチをつくりスイッチや操作パネルを集約

リビングに、構造上どうしても取れない柱が残りました。そこはあえて60cmの壁にしてもらい、スイッチや給湯システム、太陽光発電、インターホンなどの操作パネル類を集めました。おかげで室内もすっきり見えるうえ、1か所で操作できて便利です。

スケルトンリフォームで、思い出の家を現代の使い勝手に合う理想の家に変身させることができました。インテリアも希望に沿った仕様になり、注文住宅と同様な仕上がりに大満足です。