50歳を機に「捨て生活」始めて9年。すっきり身軽に、思わぬうれしい効果も
年齢を重ね、徐々にものを減らしてすっきり暮らしたい人は多いはず。整理収納アドバイザーでブロガーの原田さよさんは、「50代のうちに片づけをしてきてよかった」と語ります。その理由を教えてもらいました。
50代、ずっと片づけを続けたら、老後の準備が整っていた
私は先日60歳になりました。10年なんてあっという間…と言いたいところですが、私の50代は長かったです。なにごとも決めるまで時間がかかってしまう性格だったので、行動的で前向きでキラキラ輝いている同世代の人をいつもうらやましく思っていました。
ものでいっぱいにしてしまった家を片づけないと…という思いもあったけれど、「私には無理」とあれこれ理由をつけては避けていたのです。
そんな私が50歳で一念発起、家じゅうの片づけを始めました。それまで見てみぬふりをしてきたキッチンもリビングも、押し入れもクローゼットも物置も、すべてのものを出して片づけてきました。
邪魔になってきた家具も、好きだった本や服も、もうこんなにいらないと決めて捨てたのです。50代の約9年が、「捨てる」ための生活だったといってもいいほどでした。最終的に手をつけたのが、思い出の品でした。
●60歳になった今、もっとも感じている片づけの効果は
60歳になった今、最も感じている片づけの効果は「これで、身軽に暮らせる準備ができた」「自分のために時間やお金を使っていいと思えるようになった」という安心感を得られたことです。安心できたので、好きなことや新しいことに挑戦していいんだと、自分に言ってやることもできました。
必死で片づけていた50代の前半は、探しものをしなくなったのでムダ買いをやめられたとか、必要なものだけを置いてあるので家事の効率があがったとかの、時間的な効果や経済的な効果を感じていました。
年齢を重ねるにつれ感じるようになったのが、安心感という精神的な効果だったのです。私に限らず、50代は人生の節目と思っている人もいらっしゃると思います。変化も大きいですが、楽しいことも新しいこともまだできるのが50代。
好きなことや新しいことに挑戦する前に家をすっきりさせておくのは有効です。もちろん片づいてなくてもできますが、私自身、片づいてからのほうが、安心して好きなことに時間とお金を使おうと思えるようになりました。
外で楽しんで家に帰ってきたときも、散らかった部屋を見てどーっと疲れが出てしまうこともなくなりました。
●片づけるうちに気づいた、自分の本当の気持ち
私は障害の重い息子を育ててきたことから、家族優先が当たり前でした。将来もし余裕ができたら、ただただのんびり暮らしてみたいと思っていました。
けれど、片づけを続けながら自分と向き合っているうちに、まだ50代なら新しいことができるのではないか、好きなことをやっていいのではないかと思い始めたのです。
58歳で整理収納アドバイザーの資格を取ったこともそのひとつですが、ほかにもありました。たとえば興味があった趣味にトライしてみるとか、一人旅をしてみるとか…。
家族や友人も大切に思っていますが、私は元々ひとりがラクで好き。ひとりの時間を楽しんだ後、満たされたら家に帰る。そんな暮らしが実現するまで、あと少しです。
同居の義母も少しずつ施設で過ごすようになってきているので(これは義母にも施設のスタッフさんにも感謝しています)、夫婦で思い出の地をめぐる旅を始められました。ひとり旅も、きっと実現すると思っています。
●家も心の中も片づけて、未来にワクワクしてみませんか
先のことを考えてワクワクすると、大変な片づけもがんばれると思います。
振り返ると、50代はたしかに体調が変わったり気分が落ちこみがちになったりと、変化が多いものの、まだ片づける体力や気力はありました。「身軽に暮らしたい、自由な時間を楽しみたい、そのためにできるだけ若いうちに家の中をすっきりさせておきたい」と思っている人は、ぜひ早いうちに片づけを始めてみて欲しいです。
人生100年時代。だとすれば、60歳の私はもちろん、50代の人たちはまだまだこれからです。自分ががんばってきたことを振り返りながら、家も心の中も片づけて、ちょっと先を見てワクワクしてみませんか。
気になっていることを片づけ、「これからもよろしくね!」と自分に言ってあげてほしいです。いつも後ろ向きに生きてきた私も、こう言えるようになりましたから、みなさんならきっと大丈夫です。
原田さよさんの最新刊『50代はやめどき、捨てどき、楽しみどき』(扶桑社刊)が発売中。