心の準備ができないうちに直面する人も多い「実家の片づけ」。ぬいぐるみや写真アルバム、メダルなどの「思い出の品」はどう処分したらよいのでしょうか。実家の片づけを体験したライフオーガナイザー・尾花美奈子さんの実例を教えてもらいました。

ぬいぐるみに写真、捨てられない思い出の品の手放し方

70代の母が入院。あき家になっていた実家を売却することになりました。

【写真】郵送で「お焚き上げ」を受けるお寺や神社も

ものがなにひとつない状態にまで片づけることになったのですが、そのときに苦労したのが「まだ使える日用品」、「アルバムや表彰状といった思い出の品」、そして「受け継ぐかどうか迷う着物」の3つでした。

前回の記事では「まだ使える日用品」を寄付した話をしましたが、今回は「アルバムや表彰状といった思い出の品」についてまとめました。

 

●たくさんの遺品。捨てにくいものはどうする?

8年前に父が他界してから、父の遺品整理と母の生前整理を行ってきましたが、それでもまだ次のようなものが残っていました。
どれもこれも父や母にとっては気持ちがこもっている思い出の品なので、そのままゴミ袋に入れることがどうしてもできずにいたのです。

 

1:父、母それぞれの昔のアルバム

父、母が若い頃の写真。当初父のアルバムは葬儀の際に棺に入れようとしたのですが、葬儀会社の方の話では「故人と一緒に写っている方が存命の場合はその方も旅立ってしまう」という迷信があるらしく、親族からも反対意見が出たので棺に入れずに残すことになりました。なお、あくまでも迷信なので入れてもいいそうです。

2:父が仕事で表彰された時の表彰状やメダル

紙製の表彰状は父の棺に入れましたが、メダルや楯といった金属製品が残ってしまいました。

3:人形やぬいぐるみ

寄付をするにはあまりキレイな状態ではなく、かといって捨てるのもかわいそうになったので捨てられずにいました。

●「お焚き上げ」という選択で心からの供養を

上記3つのものは燃やして手放すこともできず、だれかに譲ることもできない。解決法は「お焚き上げに出す」ということでした。
神社やお寺では、遺品やひな人形など処分に困るもののお焚き上げを受けつけているところがあります。供養した後に焼却して天に還す儀式を行ってくれるので、そちらにお願いすることにしたのです。

お焚き上げをしてくれる神社やお寺はインターネットで検索をかければすぐわかります。ただ、次のような違いがあったので、それぞれのご事情に合うように注意して検討する必要があるかと思います。

・受けつけが郵送のみか、持ち込みも可能か
・ガラスや金属製品の受けつけ可能か不可か
・費用の設定がひと品あたりか、ひと箱あたりか

わが家の場合はメダルがあったので、金属製品を受けつけつけている神社を選びました。箱詰めの際はもちろん丁寧に扱い、最後に手を合わせてから郵送しました。

 

●ものの手放す際につきものの「罪悪感」。お焚き上げは心を軽くしてくれた

ものを手放すということは、しばしば罪悪感との闘いでもあります。思い出の品や愛着のあるものの場合はとくにそうではないでしょうか。

ですが、今回のようにどうしても手放さざるを得ない事情がある場合は、「罪悪感をいかに少なくするか」「いかに心を軽くできるか」がポイント。供養を行ってくれるお焚き上げという選択は最善の方法だったと思っています。

そして「手放すことが悪い」「残すことがいい」ということではなく、自分の最善を尽くしたのなら、どのような結果であってもいいのではと思っています。