子どものためには教育費を惜しみたくはないけれど、家計には余裕がない。そんなときは奨学金や教育ローンが最後の砦になります。ファイナンシャルプランナーの前田菜緒さんに、学費について教えてもらいました。

Q.奨学金って借りても大丈夫?

A.必要ならば借りましょう! 情報戦なので親がフォローを。

●親子でよく話し合って無理のない返済計画を立てる

思うように大学資金が準備できなかったり、予想外に教育費がかさんだときなど、頼りになるのが奨学金。

「ただ、あくまでも借金であることを忘れずに。気軽に借りると、将来子どもが住宅ローンを組むときに不利になったり、長い返済期間に苦労することも。子どもと一緒に情報を集め、親子でよく話し合って無理のない返済額やプランを立てましょう」

奨学金のギモンにしっかり答えます!

ここで、奨学金について基本を押さえましょう。

●どんな種類がある?

「給付型」と「貸与型」の2種類がある

返済義務がない「給付型」、返済義務がある「貸与型」の2種類。「まず給付型から検討を。JASSOの場合、給付型は授業料や入学金の免除・減額も受けられます。貸与型との併用も可能です」

●どこで借りる?

奨学生の約8割がJASSO(ジャッソ)を利用

大学生のほぼ半数が奨学金を受給中。「そのうちの8割が、日本学生支援機構(JASSO)を利用。ほかにも、大学や企業、自治体など、独自の奨学金制度が充実しています」

●申請はいつから?

高校3年生から申し込みが始まる

高校3年生、または大学在学中に申請開始。「受験勉強で忙しい高3のタイミングは、親も協力して情報を得るべし。もし審査に落ちても、進学後に再度チャレンジが可能です」

●借りる・借りないのラインは?

教育費+老後資金で2000万円あれば借りる必要なし

貯蓄を全額教育費に使うと老後資金がピンチに! 「親の年収や退職金にもよりますが、子ども1人の場合、大学入学時に教育費+老後資金で合計2000万円程度あると安心です」

奨学金のタイムスケジュールを確認!

JASSOの奨学金は、進学前に申し込む「予約採用」と、進学後に申し込む「在学採用」の2種類。予約採用は安心して受験できるメリットあり。

●高校3年

3〜4月頃/奨学金説明会

4〜6月頃/予約採用 第1回申し込み

給付型、貸与型(利子あり・なし)

10月頃/予約採用の第1回結果通知

10〜11月頃/予約採用 第2回申し込み

給付型、貸与型(利子あり・なし)

2月頃/予約採用の第2回結果通知

●大学入学後

1年生の4月/進学届の提出

毎年4月/在学採用 申し込み・奨学金のきり替え

毎年5〜7月/在学採用の結果通知

1年生の5〜7月/第1回奨学金受け取り

●大学卒業後

10月/第1回返済

大学最終年の3月まで借りていた人の場合

●2つの申し込み方法

在学採用

貸与奨学生は毎年春、給付奨学生は毎年春と秋に募集があります。在学中の学校で申込関係書類を受け取り、専用サイトで申請。

予約採用

高校3年生の春と秋に、在学中の高校などを通じて申請。受験や進学先の学校が決まっていなくても、申込みが可能。

Q.教育ローンってありですか?

A.最後の手段。老後費用とのダブルはキツい…。

●数百万円の借金を負うことに。奨学金を優先して

教育ローンは、親が借りて親が返すのが原則。在学中は利息のみの返済ですが、卒業後に本格的な返済が始まり、老後の負担になりがちです。
「奨学金より金利がグンと高いのも、無視できないデメリット。まずは奨学金を検討して、教育ローンは最後の手段と考えましょう、どうしても借りなくてはいけない場合は、比較的金利が低い国のローンを選んで」

2つの教育ローンの比較