中年以降になると、親や夫の介護に悩む人が少なくありません。自分の健康面にも陰りが出るなか、負担や不安は軽くできるのでしょうか。ベストセラー『女性の品格』を世に送り出した昭和女子大・総長を務める坂東眞理子さんに、介護と健康の悩みについてアドバイスをしてもらいました。

年齢を重ねるほど増える介護の悩み。今から不安でいっぱいに…

悩ましい介護問題。自分の親だけでなく、義両親に夫も…と一人で抱える人も少なくありません。負担や不安は軽減できるもの? これから世代の介護の悩みに答えていただきました。

 

●読者の介護の悩み

・夫が要介護5で寝たきりに。私も介護される立場になったらどうしよう

「7年前に夫が脳出血を発症し、それから寝たきり状態です。これから住宅の修繕など、お金がかかることも増えるのに、私も倒れたらどうしよう...」(62歳・専業主婦)

・両親共に80歳を過ぎ、これから一人で介護できるか不安

「高齢の両親に、物忘れや健康面の不安が増えてきました。夫と死別した私は、将来的に一人で親の介護ができるのか、今から不安な気持ちでいっぱいです」(55歳・パート)

【坂東さんアドバイス】万全な備えは難しいもの。一人で抱え込まず人を頼ってみて

昔から私たちは「介護は女性がするもの」と刷り込まれてきました。これは「無意識の思い込み、偏見(アンコンシャスバイアス)」と呼ばれる、女性の人生を縛ってきた古い固定観念です。これからは介護は自分一人で抱え込まず、ケアマネジャーなどプロと協力する時代。すでに子育ては、保育所、子育てサークル、ベビーシッターなど、さまざまなサービスを活用できるように変わりましたが、介護サービスも同様に広がっています。いい施設やデイケアセンターを探し、ケアマネジャー人に相談するなど、外のプロに頼れるようにしておきましょう。

私も母が80代半ばの頃以降、いつ倒れるか日々ハラハラしていました。今にして思うと、いざとなったら自分で担う覚悟が不足していたのです。自分の仕事を手放さないで介護をすると覚悟して工夫していきましょう。

親の介護を担うときも、自分に経済力があれば負担は軽くなりますし、なにより自分も親も共倒れせずにすみます。間違っても一人で抱え込み、介護離職をしないこと。あなたにはその先の人生もあるのです。

年を取ると健康面で悩むように…

中年以降は、更年期や加齢の影響で体力が落ち、健康面にも陰りが…。自粛生活もあり、落ち込みやすくなったという声も多く見られました。中高年世代の健康の悩みに答えていただきました。

 

●読者の健康の悩み

・更年期やコロナで衰えを感じ、活力がわきません

「更年期、コロナ禍...あるいはメンタルが弱いのか、活力がわきません。最近では仕事の能力が下がったように思えて、自信喪失中です」(52歳・会社員)

・病気になってからメンタルの落ち込みが増え、つらいです

「心臓を悪くしてから健康に自信がもてず、明るく生きたいと思う半面、落ち込むことも。医者も信頼できないほど心が回復していません」(64歳・自営業)

【坂東さんアドバイス】「健康」は大事な資産。心と体のケアを優先して

私たちの幸せは健康の上に成り立っています。仕事の意欲も心身共に健康でなければわいてきません。もし疲れたら燃え尽きてしまう前に、少し休んでバッテリーチャージ。次に向かう気力と体力を備えましょう。

女性は、更年期に差しかかった頃から健康面に不安を抱えることが増えます。ただ、そこを気にしすぎてしまうと、気持ちまでなえてしまいます。もし、メディカルチェックで問題がなければ気にしすぎないこと。目の前にある「やるべきこと」に集中しましょう。人に頼られ、喜ばれたり、成功体験を重ねると自信がつき、それが心の健康にもつながります。

体の健康でいえば、大事なのが運動と食事。私は自宅から大学まで自動車を使わずに片道35分かけて歩いています。経費節減や地球環境のためでもあり、健康維持のためでもあります。食生活では、野菜とヨーグルトや納豆などの発酵食品を積極的にとっています。

 

これからの暮らし by ESSE vol.04』では今回紹介した以外に、50代〜70代の暮らし達人が「買ってよかったもの、ずっと大切にしたいもの」や、老後のお金の不安まるごと解決、飛田和緒さんとめぐる「大人の湘南・鎌倉」、坂東眞理子さんの人生お悩み相談、糖質オフ2品献立、自律神経整え習慣など50代以上の暮らしに沿った情報が満載。