平屋を建てると、上下の移動がなく老後も暮らしやすい家になります。半年ほど前にハウスメーカーで家を建てた日刊住まいライターは、これから一生住む夫婦の生活を優先。3人の子どもたちの部屋は最低限にして、家族の集まるLDKを広くとる間取りに。ワンフロアでの暮らしで、老後だけでなく、今も子どもたちとの時間を楽しんでいます。人生100年時代の家づくりの参考に。

家づくりのテーマは、「老後も困らない」「楽しめる家」

筆者は、夫と子ども3人(15歳、8歳、5歳)の5人家族。半年ほど前に東京から西軽井沢に移住し、ハウスメーカーで37坪の平屋の注文住宅を建てました。

「人生100年時代」といわれる時代。家づくりのテーマは、「自分たちが老後も困らない」「楽しめる家」としました。

子どもと過ごせる時間は案外短いもの。15歳の長男は高校1年生。今後の進路によっては、3年後にはもう家を出て行くことになるでしょう。

子どもたちが全員出て行くのは、おそらく15年後ぐらい。その頃、筆者たちはまだ50代前半です。

そう考えると、筆者夫婦がこれから家で過ごす時間の方が、子どもたちと一緒に過ごす時間よりも圧倒的に長いのです。

 

長く過ごすLDKは広く。子どもたちの部屋は最低限に

こちらはLDKです。広さは29畳。さらに2畳のパントリーも併設されています。

今は、子どもたちとゆったり過ごせるよう、大きなソファを置いていません。代わりに移動させやすいビーズクッションを使っています。

将来は夫婦で使うソファーを置くことも考えています。さらに、薪ストーブの前で、夫婦でゆっくりとお酒を飲めるよう、すてきなイスとテーブルを置くかもしれません。

そんな将来的なことも考えて、LDKは広めにとりました。しかし、限られた予算では、延床面積にも制約が出てきます。そこで、LDKを広くする代わりに、子ども部屋の大きさは最小限にしてシンプルに。

 

子どもは3人ですが、子ども部屋は8畳一部屋のみ。長男と長女が2人で分けて、4畳ずつ使っています。写真のようにベッド、机、棚を置くだけなので、意外となんとかなっています。

ちなみにこの部屋は、子どもたちが全員出て行ったあとは、夫婦のシアタールームにする予定です。間取りを決める段階から決めていたことなので、子ども部屋は仕切らずワンルームにしたのです。

子ども部屋が狭いことで、部屋で遊ぶことは少ないのですが、庭が広いため暖かい時期なら外で遊ぶことができます。

 

こちらの写真は、親子でゲームを楽しんでいるところです。このように雨や冬の時期は、リビングで、一緒にゲームをして過ごすことも。

 

子ども部屋はリビングの隣にすれば、いつも様子がわかる

2階建ての場合、1階にLDK、子ども部屋や寝室を2階に…という具合に(「2階リビング」のプランのように、逆の場合もあり)、パブリックスペースとパーソナルスペースが分かれるケースが多いでしょう。

筆者も、平屋ではなくて、2階建てを建てていたら、1フロアの面積は小さくして、子ども部屋はリビング近くに配置していなかったでしょう。その方が、子どものプライバシーは保てるかもしれません。

しかし、部屋にこもられると、なにをしているのかわからないですし、一緒に過ごす時間がなくなってしまいます。その点、平屋の場合、フロアは同じ。さらにリビングの隣に子ども部屋があると、子どもの様子をすぐに確認できます。

子どもの気配も自然と大人に感じられます。子どもがまだ思春期前なら、それが子どもの安心感にもつながるかもしれません。

ちなみに、思春期まっただ中の長男は、部活でほぼ家にいません、でも、勉強をしているとき以外は、LDKで過ごしています。

一緒にテレビを観たり、ゲームをしたり、おしゃべりしたり…。リビングが隣にあることで、顔が出しやすいのでしょう。

老後や安全面を考えると階段のない平屋がいい

家を建てる当初、夫は2階建てを希望していました。しかし、老後のことを考えると階段は大変。

よい運動になるかもしれませんが、いつかは毎日2階まで階段を上るのがつらくなる日が来るでしょう。老後でなくても階段があれば、階段の掃除も必要です。

また、平屋でもロフトをつくる間取りもよく見ます。わが家も検討しましたが、こちらも老後を考えて却下。ハシゴを上らないといけないロフトは、将来、物置になる可能性が高いと思ったからです。

子どもたちのことを考えると、秘密基地のようなロフトがある方が楽しかったでしょう。しかし、「遊んでいて、落ちてしまったら怖い」という気持ちの方が勝りました。

 

ワンフロアで暮らせる平屋は、マンションのようで快適

老後はマンション住まいに住み替える方も多いと聞きます。実際に、夫婦ともにマンション暮らしの経験が長いので便利さはよくわかっています。

戸建てという時点で、マンションとは異なりますが、室内に関しては平屋を選択したことで、マンションのような暮らしができています。

平屋はワンフロアで生活ができるため、部屋と部屋の行き来が、とてもスムーズ。階段がないので、ロボット掃除機を使って全体の掃除ができます。

また、注文住宅なので、同じワンフロアでもマンション時代よりも面積が大きくとれています。広々と快適に過ごせているのもよかったと思っています。

 

心配な防犯面は、窓の種類やサイズに配慮して対応

2階建て以上の家に比べると防犯面は、やはり心配でした。そのため、防犯カメラは4台設置しています。

 

さらに窓にも気を使いました。人の出入りができる大きな引き違いの窓は、リビングの1か所のみに。そのほかの窓はFIX窓(写真)とすべり出し窓にしました。

理由は、鍵の閉め忘れのリスクを減らすためです。家全体で人の出入りが可能な窓がたくさんあると、施錠確認が大変だからです。

防犯面の不安は多少ありましたが、「自分たちが老後も困らない」「楽しめる家」であることを優先して、平屋を選択したことは後悔していません。

確かにそのことで、建築面積が大きくなり、2階建てよりも割高になったことも事実です。そのことに関しては、LDKは広く、でも子ども部屋は極力小さく、というメリハリのある間取りで、ある程度抑えることができています。

結果、老後だけでなく、今も広いLDKで、子どもたちとの時間を楽しめています。家づくりの参考になれば幸いです。