事件の3日後に行われた集会で、ツワナーさんへの応援メッセージを掲げる生徒たち(写真:AP/アフロ)

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今年1月6日、米ヴァージニア州ニューポートニューズの小学校で、6歳の生徒が教師を銃で撃ち重傷を負わせる事件が起こった。撃たれたアビゲイル・ツワナーさん(25)は、左手を銃弾に貫かれながらも教室から生徒を全員避難させ、その勇気ある行動に世界中から賞賛の声が寄せられた。それから約3カ月。ツワナーさんは勤めていたリッチネック小学校の元校長と副校長、ニューポートニューズ教育委員会、元教育長に4千万ドル(約52億6千万円)の損害賠償を求めて訴えを起こしたと、ABC NEWSなどが報じている。

ABC NEWSによれば、加害生徒は「重度の精神障害」を患っており、登校には保護者の同伴が義務づけられていたが、事件当日の付き添いはなかったという。また、被告の元校長らは「加害少年が無差別に他人に暴力をふるう過去がある」ことを知っていたにも関わらず、少年のふるまいを放任し、教室への銃の持ち込みを見逃したという訴状の内容を伝えている。

また、BBCによると事件の2日前、少年はツワナーさんの携帯電話を奪って床に叩きつけて破壊し、1日の停学処分を受けていたという。昨年は幼稚園で教諭の首を絞め、窒息させたり、他の子どもを追いかけてベルトで打ち据えるなどの過去もあった。彼の危険性についてツワナーさんが学校の責任者に訴えても、彼らは聞く耳を持たなかったと訴状には記されている。

母親の銃を家から持ち出した少年は誰の注意も受けることなく教室に入り、ツワナーさんに向けて発砲した。未成年であることから、少年は起訴されていない。

教育委員会は当時の教育長を解任し、「少年が銃を持っていたことを知らなかった」と主張する校長と副校長も辞任した。

ツワナーさんは左手を貫通した弾丸が胸に当たり、4回もの手術を受けたとBBCは報じている。永久的な身体的損傷やその損傷のために失った利益、肉体と精神に受けた苦痛などへ対する補償を求めているという。