トラック運転手の人材不足や燃料価格の高騰により運送業界全体で厳しい経営環境が続く中、栃木県トラック協会など3者が23日、荷主となる経営者の団体に長時間労働の改善への協力を求める要望書を提出しました。

 県内企業の経営者で組織する県経営者協会に要望書を提出したのは、県トラック協会と栃木労働局、関東運輸局栃木運輸支局です。それぞれの団体の代表者が県経営者協会の青木勲会長を訪れ、物流体制の確保に向けた要望書を手渡しました。

 運送業界を巡っては、長時間労働の実態が多いトラック運転手への時間外労働の上限を年960時間とする規制が来年4月1日から始まります。これを機に、トラック運転手の労働時間の見直しが求められますが、長時間労働の要因には荷主から荷物を預かる際に待ち時間が長くなってしまう習慣化された取り引きの実態があるということです。

 運送業者だけの努力では労働環境を改善することは難しいことから、要望書では荷主に対し荷物の長い待ち時間の解消や適正な運賃設定への理解など3項目について協力を呼びかけています。

 近い将来、全国で約35%の荷物が運べなくなる恐れがあるという調査結果もあり、要望を受けた青木会長は「物流は人間でいう血液、共に助けあう精神で積極的に会員企業に協力を呼びかけたい」と話しました。要望書は、県内のほかの3つの経済団体にも提出するということです。