侍ジャパン・栗山英樹監督【写真:Getty Images】

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侍ジャパンは1次ラウンドを含めた全5試合で計47得点と打線爆発

 野球日本代表「侍ジャパン」は16日、東京ドームでの「カーネクスト 2023 WORLD BASEBALL CLASSIC 準々決勝ラウンド 東京プール」のイタリア戦に9-3で勝利し、ベスト4に進出した。3大会ぶりの優勝を目指し、19日(日本時間20日)から行われる決勝ラウンドを戦う。準決勝に向けたポイントを野球評論家の新井宏昌氏が分析した。

 1次ラウンドを含め日本で行われた5試合を危なげなく勝利した侍ジャパン。打撃では繋ぎあり、長打ありの5戦計47得点を叩き出した。ヌートバー、近藤の1、2番コンビが5割を超える出塁率を誇り、大谷、吉田が走者を返す理想的な攻撃パターンを構築。不振だった村上にも当たりが戻り、下位にも岡本が控えている。

 初めて対戦する投手を相手に理想的な攻撃を展開した打線に、新井氏は「大会前の注目ポイントは大谷の前にいかに走者を溜めるかだった。1、2番が機能し期待通りに大谷が打つ。そこに天性の打撃センスを誇る吉田に下位打線の繋がりもあった。想像以上に打線は活発だったのではないでしょうか」と振り返る。

 準決勝の相手はプエルトリコとメキシコの勝者と激突することが決まっている。どちらにせよ、メジャーでプレーする選手が大半を占め、これまで以上に手強い相手になってくる。

 メキシコには昨季メジャーで17勝を挙げた左腕・ウリアス(ドジャース)、13勝を挙げたウルキディ(アストロズ)、ウォーカー(メッツ)らが控え、プエルトリコにも12勝のべリオス(ブルージェイズ)、ストローマン(カブス)ら強力投手陣が健在だ。

準決勝以降は継投策へ?「マウンドに上げて不安な投手はほとんどいない」

 それでも、新井氏は「そこまでの大量得点は見込めないかもしれないが、歯が立たない相手ではない」と指摘する。今回の侍ジャパンには左右を苦にする打者がおらず、準々決勝のイタリア戦でも150キロを超える投手からワンチャンスをしっかりものにしていることを挙げる。

「大谷、吉田、村上の中軸3人は変わらずキーマンになる。初めて対戦する投手に積極的にスイングでき、逆方向へ放つ岡本も心強い。繋ぐこともでき、長打もある打線なので対応はしやすいのではないでしょうか」

 投手陣では大谷、ダルビッシュの“メジャーコンビ”の登板は見込めないが、佐々木、山本のスターターは「2人と遜色ない投球ができる」と期待し、「もう先発で何イニング持ってほしい、という試合ではない。極端に言えば1人の投手が1イニング全力で、という継投もありえる。マウンドに上げて不安な投手はほとんどいない。どんどんつぎ込んでいくと思います」と、マシンガン継投の可能性もあるとみている。

 唯一の不安要素はホームの日本を離れ米国で行われる試合だ。「一番は時差とコンディション。これまでは慣れ親しんだ日本で試合を行い、調整もある程度うまくいった。短期間での移動と試合を行うので、うまく調整できれば」と新井氏。

 WBCでは第1回、第2回を連覇したが、直近2大会はいずれもベスト4に終わっている。史上最強と評されるチームは3大会ぶりの優勝を手にすることができるか。米国の地で涙をのんだ先輩たちの思いも背負い、総力戦で勝利を奪いに行く。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)