メーカーの初期設定がシロウトにはベストというのは勘違い、
まずは慣れてからと言わずに
自分の体重に合わせた調整が必須!

いよいよバイクシーズン到来。このタイミングで新型車や狙っていた人気車種を手に入れて、これから乗りはじめるライダーも多いはず。
そこで乗り出す前に、やっておきたいのがサス調整。

エッ、メーカーが設定した状態がシロウトには一番安心なのでは?
乗りはじめたばかりだから、もしくはそんなに飛ばすライダーではないので、暫く乗ってバイクに慣れてからで良いのでは?……と、そんな風に思いがち。

しかし何より先にやっておきたいサス調整は、洋服でいえばLなのかMなのか、もしくはSなのかを選ぶのと同じ。
ご自分の体重や身体のサイズにバイクを合わせる大事な作業なのだ。

自分の体重でサスを沈ませる理由は、
走行の安定性確保とスリップ時に転倒を防ぐため!?

バイクに跨がると自分の体重でリヤサスが少し沈み込む。この沈み込む量をリバウンドストロークといって、走行を安定させたりスリップしそうなときのリカバリー機能となる重要な部分だ。

この体重で沈み込んだリバウンドストロークは、ご覧のように路面の段差やうねりなど、バイクからみれば凸凹した箇所を通過するときに、タイヤが路面を舐めるように追随できて安定した走行ができるかの鍵を握っている。

また車体を傾けて旋回中に、そんなにバンク角が深くなくても濡れた路面でスリップした場合、沈んでいるリバウンドストロークが伸びることで一気に滑ったりせずに済むという、安全上でも重要な役割を担っている。

つまり、このリバウンドストロークが不足していると、走行が不安定だったりちょっとしたスリップでも慌てて転倒するかも知れないリスクを背負うことになりかねない。
これがライダーのキャリアに関係ないのはおわかりだろう。

大型バイクにはプリロード調整がついているので、
必要な深さまで沈ませる調整を必ずしておこう!

ではそのリバウンドストローク、どのくらい沈み込むのが適量かというと、大型ロードスポーツならどんなに少なくても全ストロークの1/4、一般的には1/3以上は沈み込ませたい。
そのためサスペンションの絶対ストローク量を知る必要があり、3人掛かりくらいで縮めれば測れなくはないが、メーカーにスペックとして仕様があるので問い合わせることも可能だ。

そして全く荷重が載っていない0Gの位置を測定しておき、ライダーが跨がった状態(1G’と呼ぶ、車重だけなら1G)の位置を測定すれば、リバウンドストロークが全体のその深さまで沈む設定なのかがわかる。

大型スポーツは主な需要が欧米で、体重70kgあたりが想定されている。
そうなると標準的な日本人では沈み込み量が不足気味になる。
そこで2本サスならスプリングの座金にある5~7段の切換えを、車載工具にある座金を回転させるツールを使うか、座金がロックナット2枚で固定されているのを調整するか、油圧でダイアルか回転アジャスターで調整するリモート式を使い、1/3に近づけるのが先決。

バイクを直立で測定する必要もあることから、お仲間に手伝ってもらうなど2人以上の作業となる。
もちろん購入したディーラーにお願いするのが一番で、専門用語では「サグ出し(サグ=撓む)」と呼ぶのでそれを告げれば何のことか間違いなく伝わる。

一部の1人乗り限定マシンを除けば、タンデムも前提に含むためかなり足らない場合が多い。
ましてや小柄で体重が50kg未満だったりすると、標準のプリロード調整ではムリというケースもある。
そうなると特別仕様に改造が必要になるが、できればそれくらい思いきった設定にするのがお奨め。

冒頭に触れたように、まだシロウトでまともに乗れてない段階でサス調整などまだ早い……ということはないのをお忘れなく。
乗りやすく万一のときにリカバーできるマージンのためなのだから。

このプリロード調整ができて暫く走り込んだら、つぎに減衰力を弱めてハンドリングを軽快にするなど、さらなる自分仕様を見つけよう!

RIDE HI(オリジナルサイト)で読む