「関西シウマイ弁当」vs崎陽軒「シウマイ弁当」どう違う? 比べて分かった東西の“主張”
「関西シウマイ弁当」と、本家横浜の「シウマイ弁当」何が違うのでしょうか。両者の弁当を食材ごとに比較すると、それぞれ異なる“主張”が見えてきました。
東西“シウマイ弁当”ガチ食べ比べの陣”!!!
姫路駅(兵庫県)の駅弁・駅そば業者として知られる「株式会社まねき」(以下「まねき」)の「関西シウマイ弁当」は、横浜の象徴とも言える崎陽軒「シウマイ弁当」とのコラボレーション商品です。2021年11月に発売されました。
「シウマイ弁当」と「関西シウマイ弁当」(宮武和多哉撮影)。
1年半にわたって試作を繰り返し完成したという「関西シウマイ弁当」は、「シウマイ弁当」とパッケージも似ているようで違い、おかずや漬物の配置にも「崎陽軒」「まねき」のしっかりとした主張が見られます。
阪神百貨店梅田店では、2022年9月開催の「東西シウマイ食べ比べ」や2023年1月開催の「阪神の有名駅弁とうまいもん祭り」など、双方のシウマイを購入できる機会がありました。しかし弁当としては消費期限が短く、「シウマイ弁当」「関西シウマイ弁当」同時販売はまだありません。
「関西シウマイ弁当」との違いを探るべく、新幹線で「シウマイ弁当」を大阪まで持ち帰り、おかずの配置や大きさ・重さ(ノギス・グラムスケールで計測)から比較してみました。
●パッケージ……描かれたスポットが違う!
「シウマイ弁当」は黄色、「関西シウマイ弁当」はオレンジ色。龍が描かれたデザインは一見するとほぼ同じですが、背景にあるのは前者が「横浜ランドマークタワー」「中華街」、後者は「姫路城」「万博記念公園」など。
そして、全体の重量は「シウマイ弁当」464.5gに対し、「関西シウマイ弁当」495.5gとなっています。「関西」の方が縦・横ともに2mmほどコンパクトなものの、おかずはややぎっしりと詰まっているようです。
さて、実食してみましょう。
東西の「シウマイ弁当」、違いはシウマイだけじゃない!
●ご飯……どちらも“もっちり”旨い!
ご飯は「シウマイ弁当」「関西シウマイ弁当」どちらも同様に絶品。お米の旨味を噛むごとに感じることができます。「まねき」の担当者によると、この食感を再現するため、試作品を持って7、8回は姫路〜横浜間を往復したそうです。
また、ご飯の上に乗るゴマが黒か白か、梅干しが青か赤か、という違いも。そこは“お好みで”といったところでしょうか。
●シウマイ……関東は香り、関西は旨味で勝負?
シウマイ1個当たりのサイズ/重量は、「シウマイ弁当」が2.5×2.7mm/15.0g、「関西シウマイ弁当」が2.7mm×2.8mm/15.3gです。「シウマイ弁当」のシウマイはひと口噛むと、干し貝柱の香りが“先制パンチ”となって入ってきます。一方で「関西シウマイ弁当」は出汁を練り込み、ひと口噛んだ後に出汁の旨味を味わえます。
左が「シウマイ弁当」右が「関西シウマイ弁当」。左は肉の味がしっかり、右は切ると出汁の味が広がった(宮武和多哉撮影)。
●おかず……ポイントは“バラン”で何を仕切っているか
共通するおかずのうち、筍・蒲鉾は「シウマイ弁当」が大きめ、唐揚げは「関西シウマイ弁当」の方が倍ほど大きめです(シウマイ弁当13.1g、関西シウマイ弁当26.2g)。
魚は、「シウマイ弁当」がまぐろ漬け焼き、「関西シウマイ弁当」が鯖の幽庵焼き。しかし「シウマイ弁当」はまぐろと蒲鉾をバランで仕切っているのに対して、「関西シウマイ弁当」は鯖と蒲鉾が近接、香りと旨味をあえて移しているのかもしれません。
また筍は、「シウマイ弁当」が角切りで甘辛い醤油煮ですが、「関西シウマイ弁当」は拍子切り、かつ姫路駅ホームの名物「えきそば」の出汁で煮込んでいます。ただ少しだけ汁気があるせいか、関西はバランの位置も筍と鯖の間にあります。
シウマイにつける辛味調味料は「シウマイ弁当」が中華街の焼売と同様に和芥子、「関西シウマイ弁当」は某有名店の豚まんの付け合わせとしても有名な「タカラマスタード」、双方の“地のもの”使用です。
横浜vs神戸 個性派の中華駅弁を比較!
今回はもうひとつ、横浜から焼売が使われた弁当を持ち帰り、関西の類似の弁当と比較をしました。崎陽軒「横濱中華弁当」(以下;「横濱」)と、西明石・神戸などの駅弁で知られる淡路屋「神戸中華焼売弁当」(以下;「神戸」)です。東西の“中華駅弁”を比べてみます。
「神戸」の焼売は、神戸南京町の名店「三ノ宮一貫樓」が手掛けたもので、「横濱」のものより一回り大きく、皮も厚めです。ギュッと凝縮された肉の香りや旨味を味わうなら「横濱」、皮のプリプリとした食感なら「神戸」といったところでしょうか。
また「横濱」は副菜に大根、かぼちゃのとろみ和えなどが入り、中華風のだしの旨がしっかり効いて、薄味なのに満足感を味わえます。かたや「神戸」は「ケンミンの焼きビーフン」や麻婆豆腐など、開けた時の「これはスパイシーだぞ!」と感じる香りが全体的にしっかりしています。
「シウマイ弁当」とは逆に、「東(横濱)が旨味、西(神戸)が香り」と違う個性を持った“中華駅弁”は、それぞれ新横浜駅、新神戸駅で大々的に販売されています。文明の利器・新幹線で“ワープ”すれば2時間少々、「シウマイ弁当」とともに食べ比べはいかがでしょうか。