住宅価格の上昇や住宅ローンの低金利を受けて、3,000~4,000万円の家の購入を検討している単身者が近年増加傾向にあります。今回は、そんなマイホームの購入を検討している単身世帯の人に向けて、4,000万円の家を買う目安となる年収を解説します。無理なく住宅ローンを返済するためのポイントも解説するので、参考にしてください。

4,000万円の家を買える人は年収いくら?

単身世帯の人が4,000万円の家を買える人の年収はいくらくらいなのでしょうか。ここでは、年収倍率(世帯年収で除した数値)と返済負担率(返済比率)から考えてみます。

年収倍率で考えた場合
住宅金融支援機構が公表している「2021年度 フラット35利用者調査」によると、住宅取得のための所要資金に対する年収倍率は、5.7~7.5倍となっています。

そのため、単身世帯の人が4,000万円の家を買う場合、年収倍率5.7倍なら年収700万円、7.5倍なら年収530万円くらいになるでしょう。

融資区分別の年収倍率は次のとおりです。

出典:2021年度 フラット35利用者調査|住宅金融支援機構

返済負担率で考えた場合
返済負担率とは、年収に対する年間返済額の割合のことです。

【フラット35】を利用する場合、借入限度額は返済負担率が基準になります。年収400万円未満の返済負担率は30%以下、年収400万円以上は35%以下です。

出典:借入希望金額から返済額を計算:【フラット35】

以下の条件で4,000万円の家を買うと仮定して考えてみましょう。

● 借入額:4,000万円
● 返済期間:35年
● 返済方法:元利均等
● 適用金利:1.5%

この場合、毎月の返済額が12万3,000円になるため、年間返済額は12万3,000円×12ヶ月=147万6,000円です。

次に、年収に対する年間返済額(147万6,000円)の割合である返済負担率は以下のとおりです。年収別に見てみましょう。

出典:返済負担率の計算|一般財団法人住宅金融普及協会

このように、4,000万円の家を買える人は、最低でも年収450~500万円くらいが目安とわかります。

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住宅ローンを組む際のポイント

4,000万円の家を買える人の年収について解説しましたが、ここでは住宅ローンを組む際のポイントとして、金利タイプ、借入期間、返済方法の三つを解説します

金利タイプ
住宅ローンの金利には、変動金利型、固定金利選択型、全期間固定金利型の3種類があります。金利の種類によって毎月の返済額や総返済額が変わるため、どれを選べばよいのかは慎重に検討する必要があるでしょう。

変動金利型の金利は半年ごと、毎回の返済額は5年ごとに見直されるという特徴があります。ただし、見直し後の返済額は従前の1.25倍以内にとどまります。金利が上がれば利息の割合が増えるため、元金が減りづらいという点に注意が必要です。

固定金利選択型は、借り入れから一定期間は金利が変わらないという特徴があります。固定期間は2年、3年、5年、10年、15年などさまざまです。固定金利期間が終了した後は、再び固定金利選択型や変動金利型を選択します。

固定金利期間終了後の金利変動幅や返済額の設定がないため、金利が大幅にアップした場合、返済負担が重くなる点には要注意です。

全期間固定金利型は、金利と返済額が変わらないという特徴があります。一般的に変動金利型よりも金利が高い点には注意しましょう。

上記の金利タイプは単一ではなく、複数を組み合わせることも可能です。

借入期間
住宅ローンの借入期間は金融機関によって定められています。一般的に最長期間は35年までとされていることが多いようです。借入期間を長くするほど毎月の返済額は抑えられますが、総返済額は多くなります。逆に借入期間を短くすれば総返済額は抑えられるものの、毎月の返済額は多くなる点に注意が必要です。

最適な借入期間は人によって異なるため、以下の点を考慮して決めるとよいでしょう。

● 毎月返済できる金額
現在の収支をもとに返済に回せる金額を計算します。

● 完済できる年齢
退職までに返済したい場合は、逆算して考えます。

● 長期的な家計の見通し
教育費や介護費用など、将来的にかかる費用を考慮しながら考えます。

契約後の失敗を防止するためにも、上記を軸に借入期間を検討してみてください。

返済方法
住宅ローンの返済方法は、元利均等返済と元金均等返済の2種類があります。

元利均等返済は毎月の返済額が一定になる返済方法です。返済額が変わらないため返済計画を立てやすく、元金均等返済と比較して、返済開始から一定期間は毎回の返済額が少ないというメリットがあります。一方、元金均等返済よりも一定期間は元金が減るスピードが鈍いうえに、返済総額が多くなるという点はデメリットです。

元金均等返済は、毎月の返済額のうち元金に相当する部分が一定で、元金に加えて利息を返済する方法です。返済回数に比例して毎回の返済額は少なくなるうえに、元利均等返済と比較して返済総額は少ないというメリットがあります。一方、返済開始から一定期間は毎回の返済額が多くなり、金融機関によっては取り扱いがない点はデメリットです。

住宅ローンを無理なく返済するには?

住宅ローンを無理なく返済したい場合は、できるだけ頭金を多くするのがコツです。

頭金の金額が多いほど毎月の返済額を減らすことができるため、返済負担を軽減できます。または、借入期間を短くして早めに完済することも可能です。

ただし、頭金をためるまでに時間がかかり、借り入れの時期が遅くなると、その分完済できる年齢も高くなってしまいます。また、頭金を多くしすぎて貯蓄が減ってしまうと、急な出費に対応できなくなる可能性もあります。

無理なく返済するには、住宅の購入金額や年収、頭金、借入期間などをトータルで考えて住宅ローンを組むことが大切です。

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まとめ

4,000万円の家を買える人の年収は、最低でも450~500万円くらいが目安です。平均的な年収倍率で考えるなら、年収530~700万円くらいが目安になるでしょう。住宅ローンを組む際には、借入金額以外にも金利や借入期間、返済方法を考える必要があります。無理のない返済を考えるなら、できる限り頭金を多くするなど、返済額を抑えることが重要といえます。