エンゼルス・大谷翔平(左)とパドレス・ダルビッシュ有【写真:ロイター】

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打線は1番DH・大谷でインパクト与える 「野球は守り」遊撃は源田、二塁は菊池

 3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向け、侍ジャパン“最強メンバー”の骨格がおぼろげながら見えてきた。巨人のヘッドコーチ、2軍監督、スカウト部長を歴任した岡崎郁氏に独自の視点で、侍ジャパンの先発メンバーを選考してもらった。

 岡崎氏は今回のチーム編成の基本的なコンセプトを「野球は守備力。ゴールデングラブ賞の選手を選んだ方がいいと思います」と明示した。強調するのが「センターライン。セカンドとショートは絶対に守備ですよ」。二塁はセ・リーグ王者ヤクルトの山田哲人もいるが、10年連続ゴールデングラブ賞の菊池涼介(広島)を指名。遊撃には岡崎氏の母校、大分商出身の源田壮亮を「我が後輩」と推薦し「この2人で鉄壁」と太鼓判を押す。「僕の高校とは違うが同じ大分県」と郷土愛も盛り込みつつ……。正捕手は西武からオリックスにFA移籍が決まった森友哉だが、甲斐拓也捕手を勝ちゲームの守備固めに必要な存在に挙げる。

 一塁は「やっぱり村上(宗隆)だよね」と王貞治超えの56本塁打で3冠王に輝いたヤクルトの顔に敬意を表する。サードは岡本和真。「1人ぐらい巨人の選手を入れてもいいでしょ」と“ジャイアンツ愛”も加味されている。右打者の坂本勇人は遊撃で、左打ちの源田とのツープラトンを考えてベンチに置きたい。抑え投手の大勢は、昨季ルーキーながらシーズン日本選手トップだ。

 DeNAの牧秀悟は内野の控えで待機。「村上と岡本の調子が落ちた時、どちらかを外して起用できる」のが狙い。外野はセンターが柳田悠岐(ソフトバンク)、左翼はオリックスから米移籍を果たした吉田正尚(レッドソックス)、右翼はメジャーの鈴木誠也(カブス)の布陣。

 切り札は、もちろん大谷翔平(エンゼルス)。「インパクトがあるから1番バッターで。足も速いので」と指名打者で相手にこれ以上ない脅威を与えてくれるはず。2番は源田、中軸は柳田、鈴木、村上。吉田、岡本、森と続きラストバッターが菊池。あらためて岡崎氏は「凄い顔ぶれ。ジャイアンツもこれぐらいのメンバーで戦いたいなあ」と笑う。

プッシュするのはオリックスの山崎颯一郎……その理由は

 先発投手は36歳で経験豊富なダルビッシュ有(パドレス)。ローテーションとして変則サイドの青柳晃洋(阪神)、左腕の今永昇太(DeNA)と異なるタイプも揃える。

 岡崎氏が最もプッシュするのが中継ぎで、山崎颯一郎だ。オリックスが日本一に上り詰めた日本シリーズで、強力リリーフ陣の一翼を担った。「日本シリーズで一番ファンが増えたのは彼でしょう。いいピッチャー」。190センチの長身を生かしたストレートは角度も球威もある。

 山崎を実力以外でも絶賛する。「本当に男前。びっくりした。背も高いし、モデルさんみたい」。岡崎氏の夫人が日本シリーズのテレビ中継で注目したことで山崎を知り、“ファン”になったという。そういう視点も実は大事だったりする。

 岡崎氏は「男前は絶対にメンバーに入れないと駄目。男前の選手はのびるんです」と力説する。「見られている意識かな。ナルシストは基本的に自己評価が高い。それは悪いことではない。トッププレーヤーって、そういう人が多いです。ダルビッシュでも大谷でも何となくそういう感じがあるでしょ」。多くのファンを引き寄せるのも、力に変わる。日の丸を背負って戦う経験は、選手の成長を促す特効薬かもしれない。(Full-Count編集部)