原辰徳監督(写真:AP/アフロ)

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今オフはFA市場が活発だ。森友哉は西武からオリックス、伏見寅威がオリックスから日本ハム、嶺井博希がDeNAからソフトバンクへの移籍が決まった。3人とも捕手であることから、「扇の要」の市場価値が高いことを裏付けている。

さらに、日本ハム・近藤健介もFA権を行使。球団が慰留に全力を注いでいるが、西武、ロッテ、オリックス、ソフトバンクの4球団も獲得に名乗りを挙げていることから、今後の動向が注目される。

梶谷・井納をFA獲得も、結果は...

この中で、「FA補強の主役」と言われてきた巨人が静かだ。

1993年のFA制度スタートから獲得した選手数は12球団最多の26人。落合博満、清原和博、工藤公康、小笠原道大、杉内俊哉、村田修一、丸佳浩ら他球団の主力を獲得してきた。豊富な資金力と圧倒的なブランディング力で他球団との争奪戦を制してきたが、近年はこのFA補強が功を奏しているとは言えない。

丸は主力として活躍しているが、20年オフに獲得した梶谷隆幸は度重なる故障で昨季1軍出場なし。井納翔一も2シーズンで計1勝しか挙げられず、今季限りで退団した。

ヤクルト、オリックスが生え抜きの選手たちを中心にしたチーム作りでリーグ連覇を飾ったように、育成能力は常勝軍団を築く上で不可欠な要素だ。巨人も昨季は若手を積極的に起用した。V奪回へ、若い力がどこまで伸びるか。巨人を取材するスポーツ紙記者は投打のキーマンを挙げる。

「投手は山崎伊織ですね。投球だけでなくフィールディング能力も高く、先発の柱になってもらわなければ困る投手です。1軍デビューを飾った2年目の今季は5勝を挙げたが、来季は2ケタ勝利も十分に狙えます。野手は増田陸。打撃は十分に1軍で通用するレベルで、闘志を前面に出すプレースタイルは巨人に珍しい。センターのレギュラーに定着してほしい選手です」

山崎、増田陸だけではない。赤星優志、堀田賢慎、井上温大、中山礼都、秋広優人のほか、ドラフト1位の浅野翔吾(高松商)、2位の萩尾匡也(慶大)ら金の卵たちの台頭が待たれる。(中町顕吾)