佐藤天彦九段(写真・時事通信)

 将棋の佐藤天彦九段が、対局中にマスクを着用しない違反行為で「反則負け」とされたことが、各界に波紋を広げている。

 10月28日、佐藤九段は、午前10時に開始された第81期名人戦A級順位戦で、永瀬拓矢王座と対局。終盤となった午後11時、佐藤九段が長考中、30分以上マスクを外したままでいることを、対局相手の永瀬王座が問題視し「反則ではないか」と指摘した。

 日本将棋連盟では新型コロナウイルスの感染拡大を受け、2022年1月に、対局者のマスク着用を「義務」とする臨時規定を設けていた。この日は関係者が1時間ほど協議した結果、佐藤九段の「反則負け」となった。規定が設けられて以来、適用は初めてのケースだった。

 翌29日、佐藤九段が「反則負け」となったことが報じられると、著名人が自身のTwitterを通じて、さまざまに反応する事態となった。

 脳科学者の茂木健一郎氏は、こう書きこんだ。

《そういう規定があるから、という考え方もわからないわけじゃないけど、それやるとみんなが不幸になるし、そもそも、もうマスクの着用についての杓子定規なやり方、やめた方がいいと思うよ。悪法も法とか言うけど、それで日本が不自由になって悪くなったら意味ないから》

 実業家の堀江貴文氏は、《確かにセコイ。永瀬王座》と投稿。作家の乙武洋匡氏は《対局中って、しゃべらないですよね》、作家の百田尚樹氏は《将棋界って、アホの集まりなの?》と疑問を呈した。さらに、漫画家の倉田真由美氏は、《日本が今、いかに異常か如実に現れている案件。後世に残る汚点》と書き込んだ。

 将棋連盟の規定には、反則に当たるかを判断する基準や注意喚起に関する条文がない。そのために生じてしまった「一発アウト」の判定に、SNSでは《#佐藤天彦九段の反則負けの撤回を求めます》というハッシュタグまで出てきている。