ハウスメーカーの家に2年住んで実感「全館空調システム」のよい&悪い点
最近、ハウスメーカーの広告でよく目にする全館空調システム。家全体の温度を均一にできるので、ヒートショックを防ぐことができ、健康に暮らすための住宅設備としても注目されています。2年前にハウスメーカーで全館空調システムの家を建てた日刊住まいライターが、実際使って感じたメリットデメリットを語ります。合わせて、家具の位置や掃除の際の注意点についても。
わが家の全館空調システムは階別の独立タイプ
筆者は2年前にセキスイハイムで家を建てました。その際に、全館空調システムも採用しました。わが家はシンプルな総2階。1階にLDKと水回り、2階に寝室や個室がある間取りです。
わが家の全館空調システムは、1階と2階で独立しています。ですから、日中は1階(LDKがある)の全館空調システムのみ稼働させ、夜は2階(寝室がある)のシステムのみ稼働させる習慣に。というのは、わが家の場合、1日のうちの16時間程度を1階で過ごしているためです(※)。
全館空調システムは、基本的に1日じゅう稼働させて、部屋の温度を一定に保つように使われますが、筆者は明らかに使っていない部屋があるなら、オフにしてしまっていいと考え、このような使い方をしています。
※システムによってはつけたり消したりすることで、消費する電力が増えてしまうことがあります。事前に取扱説明書や注意書きを確認してください
エアコン不要!だから家の中も外もすっきり
全館空調システムは、壁や床下から暖かい、もしくは冷たい空気が出るため、エアコンのような設備を壁に取りつける必要がありません。エアコンがないことで、壁全体がすっきりします。
また、全体空調システムにすると、室外機の数がエアコンと比べて少なくなります。加えて、メーカーにもよると思いますが、エアコンとは異なり、室外機を目立ちにくいところに設置することができます。
エアコンの場合、家族の各部屋に取りつけ、同時に室外機も取りつけることに。室外機があると、「その近くで生活をしているのだな」と、どうしても生活感が出てしまいます。
全館空調システムを採用すると、家の中も外も生活感を減らせ、よい意味でシンプルさが際立つようになります。
冬は暖かく、夏は涼しい快適な生活を実現
全館空調システムは、温度調節された空気の吹き出し口と、吸い込み口が離れているので、部屋全体に暖かい、もしくは冷たい空気が行き渡ります。その結果、冬は暖かく、夏は涼しい生活を送れます。
これまで、空調の効きが悪いなと感じたことはありません。ただ、冬場の暖房は乾燥しやすく、加湿器は必須になるでしょう。
わが家は、冬に全館空調システムで暖房をつけたところ、湿度が30%以下になることもありました。そこで、常に暖房をつけるときは加湿器も併用しています。
修理は大がかり!念のため、エアコン設置にも備えを
こちらは、わが家の工事中の写真。ちょうど、全館空調システムの配管類が見えています。
全館空調システムは、壁の中や床下に配管を通していので、家づくりを終えてから採用するのは現実的ではありません。また、故障したときは、床下などから配管を取り出す必要があり、大がかりな修理となります。
メーカーに確認したところ、故障する事例はとても少ないようです。ただ、わが家では故障したときの備えもすることにしました。
あとからでもエアコンを設置できるように、壁に取りつけ穴やコンセントをつけたのです。全館空調システムの修理代がとても高い場合は、これらを利用して、エアコンへの切り替えもできます。
床の吹き出し口のせいで、家具の置き場に制約が
空調の吹き出し口が床にあると、家具の置き場に制約が出てきます。わが家でも、ソファを吹き出し口と重ならないように置くはめに。
また、吹き出し口にホコリがたまるので、定期的に掃除が必要です。子どものいる家庭は、掃除の際に、子どもがオモチャを落とさないよう注意しなければなりません。家具の置き場や子どもの遊びに制約があるので、窮屈に感じる人もいるでしょう。
ちなみに、わが家の全館空調システムは130万円でした。決して安いオプションではありません。
冷暖房が効いて快適な生活をおくれるメリットがある一方で、故障時の対応、日々の掃除、家具置き場の制限などのデメリットがあります。採用する方は慎重に検討しましょう。また、住宅展示場に行き、全館空調システムを実際に体感することをおすすめします。