茨城の踊れるおばあちゃん3人組。「介護も入院も週1の練習のおかげで乗り越えられた」
人生の後半戦は、やりたいことをやり残すことなく、悔いなく生きたいもの。いつか経験したい、これだけはやっておきたい――もしそんなことがあるなら、やっている人に勇気づけられるはず。2年前に結成した平均年齢68.3歳のダンスチーム「BACK STREET SAMBERS」(通称:三婆ズ)のメンバー3人は、まさに、今やりたいことを全力で楽しんでいる最中。年齢をものともせず、最先端のリズムに乗って踊りまくるMichiyoさん(68歳)、Keikoさん(72歳)、Hiromiさん(65歳)にお話を伺いました。
40歳を過ぎて、娘の影響で始めたダンス。人生、やりたいことをやるには遅くない
――結成2年目にして、とても息の合ったダンスをSNSなどで配信する「三婆ズ」のみなさん。それぞれダンス歴は長いのですか?
Hiromiさん 私が一番長いけれど、それでも始めたのは40歳を過ぎてから。娘のダンス教室をのぞいているうちに、ディスコ世代だったころの血がうずいて(笑)、無性に踊りたくなっちゃったの。それでストリートダンスの教室に入りました。
Keikoさん 58歳のとき、娘が大学で所属するダンスサークルのステージを見に行ったら、「私もあんなふうに踊ってみたい!」って。すぐに近所のスポーツジムに入会し、ダンスのレッスンを受け始めたんですよ。
Michiyoさん 私も孫がダンス発表会で踊るのを見て、「これだ!」って思えたの。同じくジムのダンスレッスンに通い出しました。
――ということは、みなさんストリートダンスに関してはほぼ、初心者だったわけですね。“若い”といわれる年齢を過ぎてから新しいことにチャレンジするのって、怖かったり億劫だったりする人も多い気がしますが…。
Hiromiさん 私はそんなに難しく考えてなかったな。とにかく、リズムに合わせて体を動かしてみたかったから。できなくても、自分のできる範囲でやればいいし。この年だからこそ、だれにも気兼ねせず、好きなことに挑戦していいと思うの。
Michiyoさん そうそう。私はフラダンスを少々かじった経験があるけれど、ストリートダンスはまったく別物で、本当に初歩の初歩からスタートしました。だから最初は見事に体が動かなかったけれど、「楽しい」「気持ちいい」という思いが先行して、まわりがどう見ているかなんて考えもしなかったわ。
Keikoさん 年齢でやりたいことをあきらめる必要なんてないと思います。ジムのダンスクラスは、同世代や、もっと上の方もたくさんいましたよ。
●コロナ禍がきっかけで配信を開始。まさかの大きな反響に…
――それぞれ個人でダンスを学んでいた3人が、「三婆ズ」を結成した経緯は?
Keikoさん じつはコロナ禍で、通っていたジムが閉鎖されてしまって…。でも、ダンスは絶対やめたくなかったから、新しくできたスタジオのレッスンに通うことにしたんです。そこで出会ったHiromiさんが、私とMichiyoさんに声をかけてくれたのがきっかけ。Hiromiさんはこの地域のダンス仲間では知られている存在だったから、びっくりしたけれどうれしかった〜。
Hiromiさん 前から個人ではインスタにあげていたんだけれど、3人だとフォーメーションもたくさん取り入れられて、幅が広がるかなと思って。
Michiyoさん ね。録画、配信なんて初めてのことでドキドキしたけれど、踊る楽しさがますます広がっていった気がします。
Hiromiさん もちろん最初は、3人のレベルアップを目標に動画をアップしていたんですよ。見てもらうとモチベーションも上がるしね。
――それが、あれよあれよという間にフォロー数10万人を超える人気者になってしまいました!
Hiromiさん びっくりしたけど、うれしかったですね。それが縁で、国内外のイベントのゲストに呼んでもらい、踊りを披露できる機会がふえましたし。先日も地元のステージでご一緒したAKBのメンバーの方に「動画見てますよ〜」って言ってもらって。「え? 私たちのこと?」ってにわかには信じられなかったけど、やっぱり私たちのことでした(笑)。
Keikoさん ダンスをとおして世界中に友人ができたのもうれしくて。ネットの力ってすごいなぁと。
Michiyoさん 再生数760万回ですもんね。見られていると思うと気も抜けないから、レベルアップできた気がします。踊るのもますます楽しくなってきましたよ。
●若い人に人気の動画もチェック
――今はどんなふうに活動されているんですか?
Hiromiさん 私が曲をセレクトしておおまかな振りつけを決めたら、3人で共有します。週1回のスタジオレッスン日までに個々で練習しておいて、合わせるという感じですね。満足できる仕上がりになったら撮影してアップします。
Keikoさん Hiromiさんから振付が届いたら、毎朝、1時間ほど自主練しています。スタジオで、3人の息がぴったり合って踊れたときはもう最高の気分!
Michiyoさん いつも、「今度はどんな曲かな?」って楽しみなんですよ。
Hiromiさん フォロワーさんは40代以降の主婦の方が多いので、年代にひっかかる懐かしい曲を中心に。ほかには、若い人に人気のボカロ系やYouTubeなどもチェックします。FMラジオで情報を得ることも多いですね。
Michiyoさん 最近は週末のイベントで踊らせていただく機会も増えてきました。この年になって、こんなにすてきな経験をさせてもらえるのが、しみじみうれしくって。
●死ぬまで踊っていたいくらい
――改めて、みなさんのダンスへの想いを教えてください。
Hiromiさん 私にとってはもはや人生そのもの。家族の介護や入院でとても疲弊していたときも、週1回のダンスがあったから乗り越えられました。死ぬまで、いや、死んでも踊っていたい(笑)。
Keikoさん 時間はかかりましたが、自分のやりたいことをようやく見つけられて、本当に幸せです。踊ることだけでなく、そこから生まれた出会いも宝物です。
Michiyoさん あのとき、思いきってダンスの世界に飛び込んでよかった! だから、今があるんですよね。やりたいことはトライしてみよう、それが人生を楽しく生きるコツだと思います。ダンスをとおして、たくさんの“もっとやりたいこと”が生まれて、毎日ワクワクしっぱなしです。
Hiromiさん うふふ。ここまで来たら、大晦日の「紅白」のステージで踊りたいね、踊ろうね、と話しています。夢は大きくなくちゃね。実現するまで、いくつになってもやりきるつもりです!
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